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On the Production
by 井口健二
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■ラ・ヨローナ、神と共に、オーファンズ・B(二宮金、鉄道運転士、凪待ち、ゴールデンR、北の果ての、ある町の高い、カニバ、ピアッシング)
した使者たち自身の来歴が壮大なスケールで描かれる。
登場するのは3人の地獄の使者。彼らは死んだ亡者に7つの
大罪にまつわる7つの裁判を受けさせ、その全てに無罪とな
れば現世に転生させるという任務を持つ。そして1000年間に
49人を転生させれば彼ら自身も転生できるのだった。
そこで前作で殉職した消防士の正義を立証し48人目の転生を
成功させた使者たちは、ついに49人目の弁護に取り掛かる。
しかし彼らのリーダーが選んだのは、前作の消防士の弟で、
軍隊での銃の暴発事故で死亡した男だった。
しかもその弟は、地獄では大罪とされる亡者となってからの
復讐を行った=怨霊でもあったのだ。従って裁判に勝つのは
至難の業だが…。という辺りまでが前作のラストで、本作で
はいよいよその裁判が始まる。
一方、地獄を司る閻魔大王は怨霊の裁判を認める条件として
ある任務を使者たちに与える。それは寿命を過ぎても地上で
生きながらえている老人を連れてくること。そこでリーダー
を残し2人の使者が地上に降り立つが…。
その老人には強力な守護神が憑いており、その守護神こそは
2人を1000年前に地獄に導いた元使者だった。そして守護神
は、前世の記憶を失っている2人に1000年前の出来事を語り
始める。それはとんでもない因縁に繋がっていた。
出演は2018年7月紹介『1987、ある闘いの真実』などのハ・
ジョンウと、2016年12月25日題名紹介『アシュラ』などのチ
ュ・ジフン。それに2013年4月紹介『私のオオカミ少年』な
どのキム・ヒャンギ。
他に、2012年5月紹介『ロマンチック・ヘブン』などのキム
・ドンウク、2018年6月5日題名紹介『7号室』などのアイ
ドルグループEXOのディオ、2011年5月紹介『ハウスメイ
ド』などのイ・ジョンジェ。
また第一章にはチャ・テヒョン、第二章にはマ・ドンソク。
さらにオ・ダルス、チョン・ヘギュン、イ・ギョンヨン、チ
ャン・グァン、キム・ヘスク、キム・スアン、キム・ハヌル
ら、錚々たる顔ぶれが脇を固めている。
脚本と監督は、2007年11月紹介『カンナさん大成功です!』
などのキム・ヨンファ。当時は監督2作目だったが、その後
は2009年『国家代表!?』や2014年3月紹介『ミスターGO!』
などのヒットメーカーだ。
7つの大罪とはキリスト教、主にカトリック教会で用いられ
る言葉のようだが。一方の閻魔は、仏教、ヒンドゥー教など
での地獄、冥界の主とされるもので、何というか洋の東西を
横断する作品だ。
その物語は、特に第一章では地獄巡りが描かれるが、これも
子供の頃に聞いた血の池だの針の山だのという感覚とはかな
り異なる。もっとも落語の『地獄八景亡者の戯れ』にもいろ
いろな地獄が出てくるから地獄はフレキシブルかな?
ただVFXを駆使した地獄巡りは手を変え品を変えての豪華
絢爛なものではあるが、所詮それらは同じテーマの繰り返し
で、いくつか見ていると新鮮さは薄れてしまう感じがしない
でもなかった。
もちろん映画はそこにビル火災などの現代の災害を織り込ん
で、それは見応えのある作品だったが…。
それに対して第二章では、物語は1000年の時空を超えて壮大
な歴史絵巻が展開される。
ただその歴史的な背景が、僕にはあまりピンとくるものでな
かったのは残念だったが。そこで主人公たちが背負わされる
様々な重みのようなものは巧みに表現されていて、ここには
見事な人間ドラマが構築されていた。
ただのVFXアクション映画とは侮れない作品だ。
公開は第一章が5月24日から、第二章は6月28日より、東京
は新宿ピカデリー他で全国ロードショウとなる。

『オーファンズ・ブルース』
2019年2月24日題名紹介『嵐電』など北白川派の作品も何本
か紹介している京都造形芸術大学映画学科の学生による卒業
制作で、第40回ぴあフィルムフェスティバルにて、2018年度
のグランプリに輝いた工藤梨穂監督作品。
若年性アルツハイマーで記憶が消えて行く女性が、その恐怖
に怯えながらも孤児院時代を共に過ごした幼馴染みの男性の

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04月21日(日)
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