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On the Production
by 井口健二
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■ダルライザー、まく子、マイ・ブックS(多十郎、ビール・S、イップ・マン外伝、12か月の、盆唄、眠る村、天国でまた、ウトヤ、バーニング)
してくる。しかも彼女の母親は主人公の旅館に住み込みで働
き、母子は旅館の別棟で暮らすことになる。こうして登下校
も一緒に行かざるを得なくなった主人公は、その道で彼女か
らある秘密を教えられる。
多感な男子の子供から大人への成長を描いた作品だが、実は
予備知識を何も入れずに観ていた僕には、立場上でかなり衝
撃の展開が待ち受けていた。
出演は、映画は初主演の山阜と、モデル出身の新音。他に
須藤理彩、草K剛、つみきみほ、お笑いコンビしずるの村上
純。さらに橋本淳、内川蓮生、根岸季衣、小倉久寛らが脇を
固めている。
SFファンの目で観ていると、まさかからの驚愕に繋がる展
開だが、演出ではそこに外連を挟むこともなく、児童劇映画
として巧みに作られている。しかもそれがクライマックスに
すんなり繋げられているのも見事と言える作品だ。
映画の配給は日活で、製作幹事もアミューズ/日活となって
おり、この記載には以前の日活児童映画のことも思い出して
いた。実際に日活はロマンポルノの他に児童劇映画の系譜も
有していたのだ。そんな歴史も踏まえる作品に思えた。
児童劇映画というと、僕個人の記憶では幼い頃に観た『五円
の天使』という作品が忘れられない。これはたまたま自分の
家に六浦光雄著の原作本もあって印象が深かったのだが、物
語に巧みにファンタシーが織り込まれた作品だった。
昨年は、2018年8月5日題名紹介『若おかみは小学生!』の
ような作品もあったが、以前には1955年『ノンちゃん雲に乗
る』のようなしっかりとしたファンタシー系の児童劇映画も
多く作られていた。
いたずらに闘争意識を掻き立てるようなアクション系の作品
ではない、じっくりと落ち着いた児童劇映画。本作を観なが
らそんな作品の復活も期待したくなった。
公開は3月15日より、東京はテアトル新宿他にて全国ロード
ショウとなる。

『マイ・ブックショップ』“The Bookshop/La librería”
1979年ブッカー賞を受賞した英国の作家ペネロピ・フィッツ
ジェラルドがその前年に発表し、ブッカー賞最終候補作にま
で登った原作を、2006年11月紹介『あなたになら言える秘密
のこと』などのスペイン人監督イザベル・コイシェが脚本も
手掛けて映画化した作品。
舞台は1959年、イギリスの海辺の小さな町。戦争未亡人の主
人公はその町で、亡き夫との夢だった書店を開こうとする。
ところがその町には街の全てを支配している有力者の婦人が
おり、保守的な婦人は進歩的な書店に反対だった。
そこで婦人は、主人公が店舗に選んだ家屋に芸術センターの
計画を立てて妨害を開始。最初は話し合いでの解決も図られ
るが、それを拒絶した主人公には銀行や弁護士も巻き込んだ
様々な手段に訴え始める。
その一方で主人公には支援者も現れる。その最初は港の漁師
で、彼は配下の海洋少年団に家屋の改装を手伝わせる。そし
て町外れの邸宅に住む老紳士に招待された主人公は、老紳士
から新たに読む本の選択を依頼される。
こうして開店した主人公は、老紳士には最初に勧める本とし
て“Fahrenheit 451”、続いて“The Martian Chronicles”
を贈り、老紳士からは“Dandelion Wine”が待ち遠しいと伝
えられる。
しかし主人公はその前に“Lolita”を贈って、物議を醸す作
品への意見を聞いたりもするのだったが…! これに対する
婦人の妨害策は、遂に新たな法律も制定する究極のものへと
なって行く。
出演は、2017年12月17日題名紹介『ベロニカとの記憶』など
のエミリー・モーティマーと、2014年6月紹介『アバウト・
タイム』などのビル・ナイ。それに2013年10月紹介『ザ・イ
ースト』などのパトリシア・クラークソン。
他に、2016年9月25日題名紹介『マイ・ベスト・フレンド』
に出ていたオナー・ニーフシー、2003年8月紹介『レッド・
サイレン』などに出ていたフランシス・バーバーらが脇を固
めている。
因に主人公が老紳士に勧めるレイ・ブラッドベリの著作で、
1冊目は1953年の出版、2冊目は1950年の出版だが、取っ付

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01月13日(日)
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