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On the Production
by 井口健二
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■チワワちゃん、グリーンブック(サムライ・M、こどもしょくどう、ソローキン、洗骨、がんになる、ライズダルライザー、サタデーナイト・C)
兼ボディガードとして同行する人材を求めていたのだ。その
要求にはぴったりの主人公だったが…。
期間はクリスマスまでの2カ月間。長期に亙るということで
出した破格の待遇も認められ、出発の日を迎えた主人公には
1冊のパンフレットが手渡される。それは黒人が泊まること
を許されるホテルなどを記したグリーンブックだった。
斯くして三重奏を組むロシア人の弦楽奏者2人と共に、2台
の車でニューヨークを出発した彼らの前には、当時の米国社
会では当たり前だった数々の差別が襲い掛かる。それらを克
服して進むドクターにはある秘めた思いがあった。
出演は、『LOTR』シリーズなどのヴィゴ・モーテンセン
と、2017年2月5日題名紹介『ムーンライト』でオスカー助
演賞受賞のマハーシャラ・アリ。それに2017年4月30日題名
紹介『ファウンダー』などのリンダ・カーデリーニ。
監督と共同脚本は、2004年11月紹介『ふたりにクギづけ』な
どのファレリー兄弟の片割れのピーター・ファレリー。コメ
ディで実績のある監督が、今回は社会派的な題材をユーモア
もたっぷりに描いている。
元の脚本を書いたのは2017年『リベンジ・リスト』などの製
作総指揮も務めるニック・ヴァレロンガ。彼はモーテンセン
が演じる主人公トニーの息子で、幼い頃から聞かされてきた
父親の思い出話を映画化したものだ。
そして彼は、プライヴェートの記録がほとんど残されていな
いドクターことドナルド・ウォルブリッジ・シャーリー本人
にも取材して脚本を書き上げた。彼には謎に包まれた天才ピ
アニストに対する思いもあったとしている。
因にトニーとドクターはその後も交流を続け、2013年に半年
を置かず相次いで亡くなったそうだ。
トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した本作には、
オスカーの呼び声も高くなっているが、2008年と2017年2度
のノミニーのモーテンセンには、正に獲り時という感じもす
る作品だ。
公開は2019年3月1日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他で
全国ロードショウとなる。

この週は他に
『サムライ・マラソン』
(1853年ペリー浦賀来航と、史実ではその2年後の1855年に
実施の安政遠足とを絡めた2014年『超高速!参勤交代』など
土橋章宏原作・短編集の映画化。脚色を2011年7月紹介『一
命』などの山岸きくみと、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の
奇跡』などの斉藤ひろしが担当し、2014年『パガニーニ』な
どのバーナード・ローズが監督した。出演は佐藤健、小松菜
奈、森山未來、染谷将太、青木崇高。他に竹中直人、豊川悦
司、長谷川博己、筒井真理子、門脇麦、2018年7月紹介『か
ごの中の瞳』などのダニー・ヒューストンらが脇を固めてい
る。原作は個々の走者の生活ぶりなどを描いた人情噺的な作
品のようだが、映画化では幕府の隠密を中心に陰謀などが蠢
く物語に仕上げられており、それはエンターテインメントと
しては面白い。また小松の乗馬姿も感心した。ただし米国旗
の星の数などの時代考証はメタメタ。まあ娯楽作品ではある
が…。公開は2019年2月22日より全国ロードショウ。)

『こどもしょくどう』
(全国的に広がりを見せる「子ども食堂」を描いた作品。主
人公の家は大衆食堂。そこには一緒に野球をしている同級生
もやって来る。実はその同級生は母子家庭で、母親は食事を
作ろうともしていなかった。そんな主人公らが練習の帰り道
で河原に停まったワゴン車を見つける。そこには父親らしき
男と女児2人がいたが…。ドキュメンタリーと思って観に行
ったら、それ以上に巧みに活動を捉えた作品になっていた。
しかも子役たちがしっかりとドラマにしたことで、より関心
も呼べるのではないかと思えるものだ。出演は藤本哉汰、鈴
木梨央、浅川蓮、古川凛、田中千空の子役たち。それに常盤
貴子、吉岡秀隆。さらにDragon Ash降谷建志、石田ひかりら
が脇を固めている。2017年10月8日題名紹介『嘘八百』など
足立紳の原作・脚本から、2016年9月18日題名紹介『映画作

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12月23日(日)
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