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On the Production
by 井口健二
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■かぞくわり、デイアンドナイト(ムトゥ、マダムのおかしな晩餐会、ヴィヴィアン・W、猫カフェ、ボヘミアン・ラプソディ、共犯者たち)
手伝っていたと言い、主人公にもその後を継がないかと持ち
掛ける。
こうして昼は養護施設で調理などの手伝いをするようになる
主人公だったが、実はそのオーナーの夜には、別の顔が隠さ
れていた。そして「子どもたちを生かすためなら犯罪も厭わ
ない」という考えに傾注して行く主人公だったが…。
始りには2018年5月13日題名紹介『空飛ぶタイヤ』のような
雰囲気もあり、同作のご都合主義的な展開が気になっていた
僕にはそのリアル版かとの期待もしたが。本作の物語にはそ
れどころではない、とんでもないリアルが隠されていた。
出演は、阿部進之介が主人公を演じ、他に安藤政信、清原果
耶、小西真奈美、佐津川愛美、渡辺裕之、室井滋、田中哲司
らが脇を固めている。
監督は2018年9月紹介『青の帰り道』などの藤井直人。脚本
は、藤井監督と彼の盟友である小寺和久、それにプロデュー
サーの山田孝之によって作られている。
「清濁併せ呑む」という言葉は、大人には美徳のように語る
人もいるものだが、本当にそれで良いのかと問いかけるよう
な作品。これがリアル(現実)と捉えるのも良いし、これが
リアルではいけないと考えるのも良い作品だ。
なお山田はプロデューサーに専念することに関して、「俳優
が演技しやすい環境を整えることに腐心した」と語っている
ようだが、撮影現場に山田がいること自体がプレッシャーに
はならなかったのかな。俳優は皆良い演技をしている。
上記の3月紹介作でも感じたが、これが山田効果とも言えそ
うな作品だ。俳優たちは山田の人脈のようにも感じるが、良
い顔触れが揃っている。これが今の日本映画の実力と言える
感じもする作品だ。
公開は、2019年1月19日からロケ地である秋田県先行上映の
後、26日より東京はシネマート新宿他で全国ロードショウと
なる。

この週は他に
『ムトゥ 踊るマハラジャ』“முத்து”
(1998年に日本公開されて、社会現象と言われるまでになっ
たインド映画が、4K&5.1chのディジタルリマスターで再
公開される。物語は、大地主の屋敷で働く使用人のムトゥと
彼が仕える旦那様との関係を描いたもの。旦那様は婚約者を
押し付けられているものの女性に興味はなかった。ところが
ある日、ムトゥと訪れた芝居小屋で主演女優が好きになる。
しかし彼女の方はムトゥが好きになってしまい…。後半は謎
の行者の登場など、正しく大騒ぎの物語が華やかな歌と踊り
と共に綴られる。出演は2012年3月紹介『ロボット」などの
ラジニカーント。音楽を2018年5月27日題名紹介『英国総督
最後の家』などのインド映画の巨匠A・R・ラフマーンが担
当している。今観ると見慣れた感も生じるが、CGIではな
い群衆シーンなど、当時は間違いなく驚嘆した作品だ。公開
は11月23日より、東京は新宿ピカデリー他で全国順次ロード
ショウ。)

『マダムのおかしな晩餐会』“Madame”
(2018年10月紹介『ヘレディタリー』などのトニ・コレット
と、2014年9月紹介『コングレス未来会議』などのハーヴェ
イ・カイテル、それに2016年8月28日題名紹介『ジュリエッ
タ』などのロッシ・デ・パルマ共演で、パリに暮らすアメリ
カ人夫婦とその家のメイドを巡る物語。女主人が晩餐会を開
催するが、その人数が不吉な13人になってしまい。メイドに
客の振りが命じられる。ところが酒を飲んだメイドは愛嬌を
振り撒き、一家の命運を握る男性が彼女に恋をしてしまう。
果たしてその結末は…。スノッブな夫妻の姿と、艶笑コメデ
ィとも言える展開の作品。原作と脚本、監督はパリ生まれだ
が現在はロサンゼルスに居住するアマンダ・ステール。長編
監督は2作目のようだが、ベテランの俳優たちの共演で安心
して観ていられる作品になっている。特にデ・パルマの話す
パーティジョークは見事だった。公開は11月30日より、東京
はTOHOシネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)

『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』

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10月28日(日)
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