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On the Production
by 井口健二
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■BD−明智探偵事務所−、十年 Ten Years Japan、西北西(IT COMES、ステータス、ピッチ3、いろとりどり、旅猫、ナミヤ、ザ・アウト)
その一画の厩舎で世話されていた老馬にAIから殺処分の判
断が下され、それを聞いた3人の子供が悪戯を思いつく。そ
れはAIの混乱に繋がるが…。
出演は、2017年1月15日題名紹介『哭声』などの國村隼と、
他はいずれも2006年、07年生まれの大川星哉、辻村羽来、中
野龍。
『DATA』は、日本大学芸術学部映画学科卒業の津野愛監
督作品。
母親の生前のデータの入った「デジタル遺産」を、父親に内
緒で手に入れた娘は、セキュリティの掛ったそのデータを友
人の協力で引き出しに成功するが、そこにはとんでもない秘
密が隠されていた。
出演は、2018年7月22日題名紹介『パーフェクトワールド』
などの杉咲花、2018年9月2日題名紹介『人魚の眠る家』な
どの田中哲司、2011年11月紹介『おかえり、はやぶさ』など
の前田旺志郎、2016年4月紹介『団地』などの三浦誠己。
『その空気は見えない』は、明治学院大学文学部芸術学科卒
業で、2018年1月紹介『見栄を張る』の藤村明世監督作品。
深刻な大気汚染で地表での暮らしを断念した人類は、地下壕
での困窮した生活を続けていた。そんな中の1人の少女が、
地表での生活を夢見る少女と出会う。そしてその少女が姿を
消し、その跡を辿った少女は…。
出演は、2018年6月10日題名紹介『きらきら眼鏡』などの池
脇千鶴と、2007年、2005年生まれの三田りりや、田畑志真。
『美しい国』は、2016年10月9日題名紹介『愚行録』の石川
慶監督作品。
徴兵制の施行された日本。その公示キャンペーンを担当する
広告代理店勤務の主人公は、ポスターのデザインを一新する
とした防衛省の意向をデザイナーに伝える役目を先輩から振
られてしまう。
出演は、2018年3月紹介『50回目のファーストキス』など
の太賀と、2018年7月8日題名紹介『愛しのアイリーン』な
どの木野花。
先に紹介の香港版では、国情の違いなどで判り難い面はある
ものの、体制の変化の中での民間人の想いが巧みに描かれて
いて、特に最後の言論統制の問題などは、その先見性にも舌
を巻いたものだ。
それに対して日本版は多少温いかな。それなりの危機感を感
じるものもないではないが、多くはただのSFで、そのSF
に関してもあまり目新しさは感じなかった。ただし『PLA
N75』に関しては長編化の計画もあるようで、それは期待
したい。
公開は11月3日より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロー
ドショウとなる。
なお、すでにタイ版、台湾版の計画も進んでいるそうだ。

『西北西』
2018年5月13日題名紹介『菊とギロチン』などの韓英恵と、
2018年8月12日題名紹介『銃』などのサヘル・ローズ、それ
に2018年9月公演「乃木坂46版美少女戦士セーラームーン」
などに出演の山内優花の共演で、日本に暮らすマイノリティ
女性の姿を描いた作品。
韓は静岡県出身だが父親が韓国人、名前もその父方の姓を名
告っているということで本作では、在日の韓国人という設定
のようだ。サヘルは問題なくイラン人で、劇中ではメッカに
向かって定時の祈りを捧げるシーンも描かれる。そして山内
は日本人の役だ。
物語は留学生の女性がビザの問題でトラブルに遭い、その憤
懣が収まらない彼女の話を韓扮する女性が聞くところから始
まる。しかしそれを聞いている彼女の心の内にもいろいろと
鬱積したものがあるようだ。そんな2人が夜の町をバイクで
疾走し、彼女は愛する相手はいつも女性と告白する。
とは言え、イスラム教徒である女性はそれに応えることがで
きないが、その様子を垣間見た日本人の女性には納得ができ
なくなる。そんな微妙な関係の中で物語は進んで行く。
物語は国籍や宗教、また性愛の問題など様々なマイノリティ
の女性たちが現代社会の中で生きて行く姿を描いている。当
然そこには差別や迫害もあって、その様子は同じ社会に生き
る我々に対しての意味合いも深く考えさせるものだ。
脚本と監督は、長編デビュー作『TAITO』で第33回PFFぴあフ
ィルムフェスティバルの審査員特別賞を受賞した中村拓朗。

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09月09日(日)
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