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On the Production
by 井口健二
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■あいあい傘、赤毛のアン(音量を上げろ、バルバラ、ビブリア、ボーダーL、ライ麦畑、あまねき、ファイティン、心魔師、ういらぶ、死霊館)
そして、アンが「アーサー王伝説」に感動してダイアナらと
共に行った野外演劇では、エレインに扮したアンの乗った筏
が増水した川に流され、危機一髪のところをギルバートに救
われるのだったが…。
と、ここまでが『初恋』の展開。そして『卒業』では、大学
進学を目指して学業でもギルバートと競争を始めたアンが、
遂にどの大学にも行ける奨学金を手にするが…。地元の学校
で教師になることを決意する姿が描かれる。
出演は、オーデションで選ばれたエラ・バレンタインが前作
に続けてアンを演じ、共演にはハリウッド俳優のマーティン
・シーン。他に舞台女優であり演出家でもあるサラ・ボッツ
フォード。
さらに、ジュリア・ラロンド、ドゥルー・ヘイタオグルー、
ステファニー・キンバーらの若手がアンの友人たちを演じて
いる。
本作を観ていると、まず豊かな自然に心を惹かれる。僕は神
奈川県湘南の街中の生まれだが、自分自身が子供の頃には、
それでも少し行けばまだこんな自然が広がっていたように記
憶している。
それは、今でも郊外に行けば田園も広がってはいるが、その
中には住宅団地が建設されて、最早自然とは呼べない。だか
ら僕にはノスタルジーに感じられた映像が、今の観客にはそ
うとは取れないのが現実かも知れない。
そんな状況の中で、本作について僕は、特に女性が若い頃に
読むべき定番の物語だとも思っていたが、現状ではそうでは
ないのかもしれないという考えも浮かんでくる。
実際に1年前の前作の公開では、手堅い観客動員はあったも
のの、本来観て貰いたい若年層への浸透は今一つだったよう
で、その続きである本作にもなかなか厳しい状況ではあるよ
うだ。
また原作とのタイアップでも、20種類以上あるという翻訳の
出版では、正に定番商品であるが故の新たな読者の開発にも
腰が重いようで、プロモーション用の帯の装着やポスターの
1枚の貼り出しも難しいとのこと。
なかなか厳しい状況のようだが、描かれているのは友情や血
は繋がっていなくても家族の物語であり、これらはノスタル
ジーなどではなく、今の若い人たちが観て感じて欲しいもの
なのだが。
公開は『初恋』が10月5日より、『卒業』が11月2日より、
東京は109シネマズ二子玉川他で原作出版110周年記念として
全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『音量を上げろタコ!
       なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』
(2013年4月紹介『俺俺』などの三木聡原案、脚本、監督に
よる作品。登場するのは4オクターブの音域と驚異的な声量
で人気絶頂のロック歌手。しかし彼の歌声は「ドービング」
によって人工的に作られたものであり、長年の酷使で限界に
近づいていた。その恐怖に怯える彼は街に飛び出し、そこで
出会った圧倒的に声の小さいストリートミュージシャンに、
自分の過去を重ね合わせるが…。出演は阿部サダヲ、吉岡里
帆。他に千葉雄大、ふせえり、松尾スズキ、田中哲司、麻生
久美子、森下能幸、小峠英二、岩松了らが脇を固めている。
テーマ的には「スタア誕生」を思わせるが、物語の後半はか
なりぶっ飛んだ展開で、これぞ三木ワールドといった感じの
作品になっている。ただ主人公らの来歴の辺りがもう少し欲
しかったかな。でも阿部の強烈なパフォーマンスも観られる
し、ファンは満足できるだろう。公開は10月12日より、東京
はTOHOシネマズ日比谷他にて全国ロードショウ。)

『バルバラ セーヌの黒いバラ』“Barbara”
(2013年2月紹介『コズモポリス』などの俳優マチュー・ア
ルマリックが脚本、監督、出演を務め、2017年カンヌ国際映
画祭「ある視点部門」でポエティックストーリー賞を受賞し
た作品。1997年に没したフランスの伝説的歌手バルバラを描
いた映画を撮るという設定で、その世界にのめり込んで行く
主演女優と映画監督の姿が描かれる。主演はアマルリックの
元パートナーであるジャンヌ・バリバール。作品は実話のエ
ピソードに基づいていると思われるが、その辺の事情が音楽

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08月26日(日)
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