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On the Production
by 井口健二
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■マルセルの夏/マルセルのお城、かごの中の瞳(ブッシュウィック、ペギー・G、MEG、春画と日本人、愛しのアイリーン、スペースバグ)
最後に見たのは事故で死んだ両親の顔だった彼女は、視力の
回復に喜びを隠せない。しかしそんな彼女の周囲で様々な出
来事が起こり始める。その一方で彼女はギターを習い、ある
思いを込めた歌を作ろうとする。
共演は、2013年『フルートベール駅で』などのアナ・オライ
リー、2014年6月紹介『アイ・フランケンシュタイン』など
のイヴォンヌ・ストラホフスキー、2016年12月紹介『汚れた
ミルク』などのダニー・ヒューストンらが脇を固めている。
脚本と監督は、2014年3月紹介『ディス/コネクト』などの
マーク・フォースター。製作も兼ねての作品だ。
視力の回復して行く様子が視覚効果を駆使して描かれ、それ
は観客にも一緒に体験できるような感覚になっている。その
ヴィジュアルは、最近のCGI一辺倒のVFXとはちょっと
違った感覚で、少し懐かしさも感じてしまった。
事故で失った視力を手術で取り戻すという展開には、1977年
に大林宣彦監督が手塚治虫の原作を映画化した『瞳の中の訪
問者』を思い出したが。本作ではより現実的に夫婦の心のす
れ違いを描く。それはかなり際どい描写も含むものだ。
実は本作の試写は先週紹介のタイミングで行われたが、邦題
などの情報制限があり紹介を遅らせた。その先週分ではシア
ーシャ・ローナン主演の『追想』を題名紹介しているが、ど
ちらも夫婦関係のちょっとした行き違いを描いたものだ。
両作とも少し特殊なシチュエーションではあるが、夫婦間の
信頼など、基本的な部分は普遍的なものであり、現代にこう
いう機微を映画が描くことの意義も感じた。
それと本作では結末に多少議論を呼びそうだが、これも先週
題名紹介の『タリーと私の秘密の時間』と同様に、鑑賞した
後でいろいろ話し合って欲しいもの。さらにタイ、スペイン
にロケした風物も楽しめる作品になっている。
公開は9月より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国順次
ロードショウとなる。

この週は他に
『ブッシュウィック 武装都市』“Bushwick”
(2007年9月紹介『ヘアスプレー』などのブリタニー・スノ
ウと、2017年5月紹介『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシ
ー』などのデイヴ・バウティスタ共演で、見慣れた街が侵略
者に襲われる恐怖を描くサヴァイヴァルアクション。主人公
が祖母の住むNY近郊の地下鉄駅に降りた時、ホームには人
影がなかった。それでも気にせず改札口に向かう主人公だっ
たが、そこに火だるまの人間が転がり込んでくる。そして恐
る恐る出口から覗いた主人公の目に入ったのは、街中で繰り
広げられる戦闘シーンだった。それでも祖母の家に向かう決
意を固めた主人公は途中で屈強な男と出会い、徐々に事態も
判明してくるが…。物語は架空イヴェントものとして、それ
なりに巧みに作られている。原案と監督は、2015年12月紹介
『ゾンビスクール!』などのジョナサン・ミロとカリー・マ
ーニオン。公開は8月11日より、東京は新宿シネマカリテ他
で全国順次ロードショウ。)

『ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪』
           “Peggy Guggenheim: Art Addict”
(美術館で知られる富豪一族の女性が、その展示の中心とな
る現代美術をコレクションするに至る軌跡と、芸術家たちと
の交流を描いたドキュメンタリー。金持ちの芸術愛好なんて
所詮は鼻持ちならないものだが。本作の場合はそのスケール
が違うし、さらに彼女が居なければ陽の目を見なかったかも
しれない芸術家を見い出したことに関しては、ある種の痛快
さも感じる不思議なものになっている。その彼女に見い出さ
れた芸術家では、2003年に映画化されたジャクスン・ポロッ
クが有名なようだが、本作によるとオスカー俳優ロバート・
デ・ニーロの両親もその恩恵に与っていたそうで、俳優自身
がその様子を語る姿には映画ファンとして親しみを感じさせ
るものにもなっていた。作品は伝記用に生前録音されて長く
行方不明だったインタヴューに基づいており、中には新たな
認識もあるようだ。公開は9月上旬より、東京は渋谷のシア

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07月08日(日)
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