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On the Production
by 井口健二
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■500ページの夢の束(インクレディブル・F、爆弾処理班、寝ても、ゲンボとタシ、わがチーム、きみの鳥は、モアナ、ヴァンサン、クレFM)
(2004年11月紹介『Mr.インクレディブル』の14年振りの
続編。法律によりスーパーヒーローの活動が禁じられた世界
を背景に、それでも出てくるスーパーヴァリアンと闘う一家
の活躍が描かれる。今回も開幕は宿敵アンダーマイナーとの
闘い。両親と盟友フロゾンの協力で攻撃を退けるが、街は大
破壊で敵も捕らえられなかった。この事態に法律違反の父親
は逮捕されるが、いつものように保護プログラムで釈放。し
かし闘いの直前に級友に告られた長女は、闘いの中で姿を見
られ、プログラムに従って告った記憶まで消された級友にシ
ョックを受ける。そんな中で法律を見直す動きが出て、スー
パーヒーローの活躍が喧伝されるようになるが、そこに駆り
出されたのは母親。このため主夫となった父親の家での奮闘
が始まるが…。脚本と監督は前作と同じブラッド・バード。
前作同様巧みな物語が展開される。公開は8月1日より、東
京はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『SHOCK WAVE 爆弾処理班』“拆弾専家”
(2018年2月4日題名紹介『グレート・アドベンチャー』な
どのアンディ・ラウ製作・主演で、テロリストと対決する香
港警察爆弾処理班の姿を描いた作品。テロリストと称されて
いるが、実態は犯行に爆弾を使う強盗団。その犯行を暴くた
め主人公は潜入捜査を敢行。一味の大半は捕えるが、主犯を
取り逃がす。それから7年、仕事一途だった主人公にも恋人
ができ、新生活が始まろうとしていたが…。香港島と本土を
結ぶ海底トンネルが占拠され、閉じ込められた数100人の人
質とトンネル爆破を盾に巨額の身代金が要求される。しかも
その主犯は主人公への復讐に燃える7年前のテロリストだっ
た。交通機関と爆弾、大勢の人質と身代金というと1975年の
『新幹線大爆破』が思い出されるが、本作の犯行計画も中々
巧みに考えられていた。脚本と監督は、2012年2月紹介『イ
ップ・マン』などのハーマン・ヤウ。公開は8月18日より、
東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)

『寝ても覚めても』
(2015年に上映時間5時間17分の『ハッピーアワー』が公開
された濱口竜介脚本・監督で、2018年カンヌ国際映画祭コン
ペティションに選出された作品。芥川賞作家・柴崎友香によ
る同名恋愛小説の映画化で、運命的な出会いをした男性が突
然姿を消し、その男性と容姿がそっくりの男性と巡り合う。
そんな少しミステリアスな男女のドラマが描かれる。出演は
東出昌大と新人の唐田えりか。他に瀬戸康史、山下リオ、伊
藤沙莉らが脇を固めている。今年のカンヌは『万引き家族』
のグランプリが絶対的だったと思うが、2017年のカンヌには
フランソワ・オゾン監督の『2重螺旋の恋人』(2018年6月
10日題名紹介)が選出されていて、その翌年にこの作品とい
うのも不思議な感じがするところだ。ただ本作は物語の基本
とされる起承転結の展開が実に律義に守られた作品であり、
その点は評価したい。公開は9月1日より、東京はテアトル
新宿他で全国順次ロードショウ。)

『ゲンボとタシの夢見るブータン』“The Next Guardian”
(インド―中国の国境に挟まれた小国の現在を語るドキュメ
ンタリー。登場するのは古い寺院の主宰の息子とその妹。屈
託なくサッカーのボール回しに興じる2人だが、父親は寺院
と伝統の踊りを護るため、息子には仏教学校への進学を希望
している。だが母親の意見は違うようだ。一方の妹は、女子
サッカーの国代表を選ぶ選考会を目指していたが…。ヒマラ
ヤの高原を舞台に、日本とはちょっと違うかな? でも通じ
る所も多い彼らの日常が描かれる。マニ車があったり不思議
な仮面の踊りなど、映画を観ながら僕は、以前に家族で何度
も訪れた香川県のレオマワールドを思い出していた。そこに
飾られていた巨大な曼荼羅も素晴らしかったものだ。そんな
小国は今、近代化の波に翻弄されかかっている。近代化ばか
りが国の未来じゃないよ! そんなことも言いたくなった。
公開は8月18日より、東京はポレポレ東中野他にて全国順次

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06月24日(日)
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