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On the Production
by 井口健二
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■死の谷間(妻よ薔薇、ゆずりは、毎日がアルツ、さらば青春、四月の、TOKYO L D、サバービコン、キスできる、ウィンH、虹色D、リズと)
のレギュラーに加えて、立川志らく、笹野高史、笑福亭鶴瓶
らがゲスト出演している。各派の落語家が並ぶのは監督の好
みかな。落語の人情噺とはちょっと違う雰囲気のお話だが。
公開は5月25日より、全国ロードショウ。)

『ゆずりは』
(2018年1月28日題名紹介『おみおくり』に続いて葬儀の現
場を描いたドラマ作品。先の作品では納棺師の技術的な側面
が江川悦子のスペシャルメイクを駆使して見事に描かれてい
たが、本作は葬儀社のあり方を問う作品。同様にいくつかの
エピソードを積み重ねながら、その中での新人の成長が描か
れる。そのエピソードが先の作品ではちょっとどうかなと思
うものもあったが、本作ではオーソドックスに涙を誘うよう
になっている。ただ両作共に自死の話があるのは、そういう
時代の反映なのだろうか? 出演はものまねタレントのコロ
ッケ、ただし本作では本名の滝川広志名義で登場し、お笑い
は封印している。他に、2016年10月紹介『オー・マイ・ゼッ
ト!』などの柾木玲弥。監督はテレビの人気ディレクターで
映画は2004年以来2作目の加門幾生。公開は6月16日より、
東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。』
(2014年5月紹介した作品の続き。前作では認知症の介護の
実態が巧みに描かれ、今後の自分のあり方を考えさせられた
が、本作ではさらに進んで被介護者が最期を迎えるときの問
題がテーマとされる。それは多少不謹慎かなとも思えるテー
マだが、実は監督自身が入院手術という局面に立たされて、
それを真剣に取り上げざるを得なかったものだ。そしてその
中では、デイケアのあり方から終末医療、スイスで取材され
る「自死幇助」の問題まで、多岐に亘る側面が簡潔に判り易
く描かれていた。実はスイスでの問題に関しては以前にそれ
を扱ったドラマ作品を観て、その時は多少怒りに近い感覚だ
った記憶があるが、今回は真剣に論じられる様子が正にこれ
も考え方の一つという思いもした。そんなこれからの我々が
迎える問題が丁寧に描かれた作品だ。公開は7月14日より、
東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『さらば青春、されど青春』
(2017年4月2日題名紹介『君のまなざし』に続く宗教家・
大川隆法の原案・製作総指揮により、幸福の科学出版が製作
した実写作品。出演は前作の大川宏洋と旧名清水富美加の千
眼美子。背景は昭和50年代、故郷を離れ東京の大学に進学し
た主人公は勉学に励んだ末に大手商社に就職。将来を期待さ
れエリート街道を進むが…。彼には他人に明かせない秘密が
あった。宗教家は自分と年齢が近いこともあって以前から興
味もあり、映画作品は初期のアニメーションからそこそこ観
てきた。その作品は結末は教義に従うもののそれなりにファ
ンタシーで忌憚なく観られたが、今回は宗教家の半自伝的な
作品で多少自慢話めくところが気になったかな。それに初期
の著作で語られた宗教に目覚めた瞬間が、今回は違う経緯の
ようで、それもちょっと残念に感じられた。公開は5月12日
より、東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)

『四月の永い夢』
(2016年『走れ、絶望に追いつかれない速さで』などの中川
龍太郎脚本・監督で、2017年のモスクワ国際映画祭で国際映
画批評家連盟賞とロシア映画批評連盟特別表彰をW受賞した
ヒューマンドラマ。3年前に中学校の音楽教師を辞め近くの
蕎麦屋で働ていた女性の許に、3年前に亡くなった恋人の書
き残した手紙が届くことから状況が動き出す。出演は2009年
8月紹介『携帯彼氏』などの朝倉あき。他に三浦貴大、舞台
女優の川崎ゆり子、青柳文子、高橋由美子、森次晃嗣、志賀
廣太郎、高橋惠子らが脇を固めている。監督の前作も観てい
るが、本作と同様に恋人や友人の死を受け入れられない主人
公が新たな道に歩み出すまでを描いていた。その心情は重く
中々紹介には踏み切れないものだ。でもそんな人が世間には

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04月15日(日)
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