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On the Production
by 井口健二
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■リビング・ザ・G、さよならの朝に(心と体と、坂道のA、願いと、欲望の、おみおくり、君の名前で、浜田省吾、honey、ジェイン、石綿村)
女性を連れ去る。
その戦いの中で主人公は、狂ったレナトの飛翔に巻き込まれ
て野山を越え、人間の村に辿り着く。そこでも戦いは行われ
ており、死んだ母親に守られた赤子を見つけた主人公は、長
寿族の素性を隠したまま、人間の村で母親の代わりに赤子を
育てることを決意するが…。
声優は石見舞菜香、入野自由、茅野愛衣、梶裕貴。スタッフ
では、副監督に篠原俊哉、キャラクター原案に吉田明彦、キ
ャラクターデザインに石井百合子、音楽に川井憲次らが監督
を支えている。
『シナモン』以外の上記の2作は、いずれも現代が舞台でそ
こにファンタスティックな要素が盛り込まれたもの。しかし
僕にはそれがしっくりと来なかった。それに対して本作は、
最初からファンタシー世界が背景とされたもので、その中で
の物語は巧みに構成されていた。
もっとも上記の2作は、元がテレビシリーズの再編集版で、
いろいろ問題はあったのだろうけど、取りあえず本作に関し
ては認められるものだ。特にSF/ファンタシーでしか成立
し得ない出会いと別れは、それらのファンとしては冥利に尽
きる。ここでは子供の成長が別の意味を持つのだ。
ファンタシー世界の景観も美しく、楽しめる作品だった。
公開は2月24日より、東京は新宿バルト9他にて全国ロード
ショウとなる。

この週は他に
『心と体と』“Teströl és lélekröl”
(2017年のベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を始め4部
門に輝いたハンガリーのイルディコ・エンエディ監督作品。
ブダペスト郊外の食肉処理工場を舞台に、周囲に馴染めない
女性職員と片腕の不自由な男性上司の交流が描かれる。2人
の関係は最初ぎこちないが、毎夜同じ夢を見ることが判って
から急接近する。その夢で2人は森で暮らす2頭の鹿だった
が…。夢がシンクロするというのは少しファンタスティック
だが、描かれる関係は結構リアル。ただし森の風景がメルヘ
ンで、その辺のアンバランスも面白い作品だった。出演は、
ロシア戯曲の翻訳者でもあるゲーザ・モルチャーニと、本作
でヨーロッパ映画賞の主演女優層に輝いたアレクサンドラ・
ボルベーイ。公開は4月14日より、東京は新宿シネマカリテ
他で全国順次ロードショウ。)

『坂道のアポロン』
(小玉ユキ原作による小学館漫画賞受賞作を、2014年、16年
『超高速!参勤交代』などのジャニーズ知念侑李と、2017年
3月紹介『ReLIFE』などの中川大志、2016年12月18日題名紹
介『沈黙−サイレンス−』などの小松菜奈の共演で実写映画
化。脚本は2017年5月21日題名紹介『トリガール!』などの
高橋洋、監督は、2013年8月紹介『陽だまりの彼女』などの
三木孝浩。物語は境遇の違う3人がジャズを通して交流して
行く姿を描いた青春ドラマで、演奏されるのは「モーニン」
「私の好きなもの」のジャズアレンジなど定番のものだが、
知念、中川にディーン・フジオカを加えたセッションはそれ
なりに聴かせてくれた。他に中村梅雀、野間口徹らが脇を固
めている。公開は3月10日より、東京はTOHOシネマズ日本橋
他にて全国ロードショウ。)

『願いと揺らぎ』
(宮城県南三陸町にある80戸余りの小さな漁村・波伝谷に伝
わる「お獅子さま」の行事を2008年から取材し、その模様を
『波伝谷に生きる人びと』として2014年に発表した我妻和樹
監督が、2011年3月11日以降の同地での行事の復活の道のり
を追ったドキュメンタリー。震災による大津波で海辺の村は
ほとんどが流失し、住民の居所もばらばらになる。それでも
翌年には行事の復活の機運が高まる。しかしそこで人々の気
持ちにすれ違いが生じ始める。その様子が長年に亙って取材
してきた監督の視線から語られて行く。それはどちらの側に
も理のある話であり、容易にまとまりそうもない。そんな中
で行事復活の原動力は意外ではないところにあった。人間の
素晴らしさも描かれた作品だ。公開は2月24日より、東京は
ポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)

『欲望の翼』“阿飛正傳”

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01月28日(日)
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