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On the Production
by 井口健二
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■<TANIZAKI TRIBUTE>、スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット、野球部員、演劇の舞台に立つ!
地球ではバグズと独立運動を一気に消滅させる計画が密かに
進められていた。斯くしてリコの小隊は、バグズと地球の両
方を敵に回すことになるが…。
公開は日本語吹替え版のみになるようだが、オリジナルでは
第1作の出演でブレイクしたキャスパー・バン・ディーンが
声優と製作総指揮も務めている。他にも第1作登場のディナ
・メイヤーが声優で復帰。そして脚本はシリーズ全作に関る
エドワード・ニューマイヤーが担当しているものだ。
1997年の実写版の第1作では、2015年6月紹介『エクストラ
テレストリアル』などの強面マイクル・アイアンサイドが主
人公らをしごく鬼軍曹に扮して、それが当時放送されていた
SFテレビシリーズのイメージとも重なって面白かったもの
だが、それを今回はリコが引き継いでいる感じかな。
その辺のオリジナルへのオマージュみたいなものも感じさせ
る作品になっている。
ただし、ハインラインが1959年に発表した原作は、パワード
スーツというアイテムで、後の『機動戦士ガンダム』などの
原点とも言われたものだが。映画化では第1作を除いてその
ようなイメージはほとんど消失してしまった。
従って映画は、舞台が宇宙なだけの普通の戦争映画といった
感じだが、そこで本作の地球政府が採る戦略みたいなものは
ちょっと短絡的に過ぎるかな。結末もこれでバグズを殲滅で
きるとも思えない。
特にせっかくテラフォーミング装置があるのならその機能を
利用した作戦もあると思うのだが…。とここまで書いて、ホ
ロコーストが思い浮んでしまった。それは正にジェノサイド
な訳だし、それをハリウッドでやるのはちょっと無理なのか
も知れない。
それにしても、太陽系内の惑星に橋頭保を築かれているのに
地球政府のこの対応は、常識的にはかなりやばすぎる訳で、
こんな政府の軍隊では、次回作も思いやられる感じかな。ま
あ5年後が楽しみになってきた。
公開は2018年2月10日より、吹替え版のみで2週間限定全国
ロードショウとなる。

『野球部員、演劇の舞台に立つ!』
福岡県八女市の高校教員が行った10年間に亙る実践記録に基
づく作品。その原作と10年前に出逢った独立プロ所属の中山
節夫監督が、同志のプロデューサーと共に歳月を掛けて地元
を巻き込み、実現に漕ぎ付けたという作品だ。
内容は題名の通りで、春の選抜出場を目指すも県の秋季大会
1回戦で逆転負けを喫した高校球児が、監督から自分たちに
足りないものを学べると言われ、こちらも全国大会を目指す
演劇部に参加するというもの。
その演劇部ではOBが執筆した脚本で、ボクシングをテーマ
にした演劇が創作されており、スポーツで鍛えられた身体の
出来ている球児たちが、主人公とそのライヴァルのボクサー
を演じることになるのだが…。
出演は、2015年3月紹介『忘れないと誓ったぼくがいた』な
どの渡辺佑太朗と、2013年『青空エール』などの舟津大地、
それに2017年4月2日題名紹介『ダブルミンツ』などの川籠
石駿平。3人はいずれも元高校球児だそうだ。
他に、2012年4月紹介『シグナル』などの柴田杏花、2015年
『リアル鬼ごっこ』などの佐々木萌詠、2017年3月12日題名
紹介『トモシビ』などの芋生悠。さらに林遣都、宮崎美子、
宇梶剛士らが脇を固めている。
この種の作品の場合、如何に説得力を持たせるかと、傍観者
にならざるを得ない我々に感動を与えられるかがポイントに
なると思えるが。その点では原作の実践記録に忠実であるこ
とが説得力の原動力と言える。
さらに監督が拘ったというスポーツで鍛え上げられた肉体が
そこにリアリティをもたらす。特に上半身をさらした瞬間の
背中は、これは本物だと思わせてくれたものだ。因に監督は
オーディションの後で筋肉の維持だけは要求したそうだ。
そして感動という点では、今年80歳という監督は実に巧みに
作品を作り上げている。それはフィクションに関る部分と思
われるが、それをあざとくなくナチュラルに描き切るのは、
ベテランの味と言えるものなのだろう。

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12月10日(日)
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