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On the Production
by 井口健二
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■ガーディアンズ、シェイプ・オブ・ウォーター
そこに主人公の同居人や同僚の黒人女性。さらに水棲人を手
に入れようとするソビエト連邦のスパイなども絡んで、事態
は思わぬ方向へと進展して行く。
主演は2010年12月紹介『わたしを離さないで』などのサリー
・ホーキンス。他に2012年2月紹介『テイク・シェルター』
などのマイクル・シャノン、2013年8月紹介『ランナウェイ
/逃亡者』などのリチャード・ジェンキンス。
さらにダグ・ジョーンズ、マイクル・スタールバーグ、オク
タビア・スペンサーらが脇を固めている。デル・トロは製作
面では上記の4役だが、エンド・クレジットによると他に声
優も務めていたようだ。
M・ナイト・シャマランも2006年に『レディ・イン・ザ・ウ
ォーター』を撮ったが、ファンタシー系の監督はこういう作
品を撮りたくなるものなのかな? ただし本作で水の中に居
るのはレディではなくAmphibian Manだが…。
主人公の女性が喋れないのは人魚姫からの発想と思えるが、
他にもいろいろ描かれる示唆は、結末にも別の意味が生じて
中々興味深いものになっている。レジー賞のシャマランに対
して、本作がベネチア金獅子賞なのはその違いだろう。
それにしても本作の水棲人が正にGill-manなのにも驚かされ
たところで、2017年7月紹介『ザ・マミー 呪われた砂漠の
王女』では、後続作品の中に『大アマゾンの半魚人』が明白
に示唆されていたが、これはどうなるのだろうか。
公開は2018年3月1日より、全国ロードショウとなる。
この週は他に
『はじまりのボーイミーツガール』
“Le coeur en braille”
(秀才で音楽の才能もあるが病で視力を失って行く少女と、
頭は悪いが彼女を護ろうと奮闘する少年を描いた青春映画。
どちらが見初めたのかは判らないが、先に声を掛けたのは少
女。そして少女は少年に勉強を教え始めるが、彼女自身が抱
える問題はなかなか話せなかった。しかし彼女には42日後の
音楽院の試験の日まで周囲にそれを隠す必要があった。出演
は新人のアリックス・ヴァイロと、2015年『ミモザの島に消
えた母』で主人公の幼少期を演じたジャン=スタン・デュ・
パック。他に2017年『ELLE』などのシャルル・ベルリング、
2012年10月28日「東京国際映画祭」で紹介『もうひとりの息
子』などのパスカル・エルベ。公開は12月16日より、東京は
新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『ジャコメッティ 最後の肖像』“Final Portrait”
(1966年に他界したフランスの芸術家が、その2年前に制作
した肖像画の顛末を、そのモデルとなったアメリカ人美術評
論家の著作を基に映像化した作品。脚本と監督は2014年8月
紹介『ザ・マペッツ2』などの俳優スタンリー・トゥッチ。
出演者にジェフリー・ラッシュ、アーミー・ハマー、トニー
・シャループ、シルヴィー・テステュー、クレマンス・ポエ
ジーらを迎えて、ストイックで気まぐれ、ユーモアもあるが
癇癪持ちという芸術家の晩年を情感豊かに描き上げている。
「伝記映画には興味がない」という監督が、芸術家の人間性
を見事に映し出した作品とも言えそうだ。しかもエンターテ
インメントとしても面白い。公開は2018年1月5日より全国
ロードショウ。)
『ダンシング・ベートーヴェン』“Beethoven par Bejart”
(1964年に天才振付師モーリス・ベジャールによって初演さ
れ、世界的なセンセーションを巻き起こしたものの1978年に
封印。1999年以降は上演も途絶え、2007年のベジャール死去
以降は再演不可能とされていた「第九交響曲」に基づくバレ
エの舞台を、2014年に東京バレエ団が創立50周年記念として
再演するまでのリハーサルなどの様子を描いたドキュメンタ
リー。という状況を知って観ていれば成程なあと思える作品
なのだろうが、予備知識がないと多少戸惑う作品だった。と
は言え一つの作品を作り上げて行く過程は興味深く描かれて
いた。ただ最後はもう少し本舞台の様子が見たかったかな。
それには別の問題が絡むのだろうが。公開は12月23日より、
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