ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459773hit]

■time slipという言葉について、丸
態になる。そして発砲が起き、父親が死亡する。その状況を
警察は父親が拳銃を奪って自殺したと発表するが…。
実は立て籠もりの状況から近くで取材していた記者がいて、
彼は決定的な証拠写真を撮っていた。
出演は、2013年12月紹介『神奈川芸術大学映像科研究室』な
どの飯田芳、2016年1月紹介『太陽』に出ていたという木原
勝利。さらに本作のプロデューサーも務める池田将らが脇を
固めている。
海外や地方の映画祭での上映はあったようだが、今回の試写
は都内ではPFF以来の上映だったようだ。そういう作品だ
が、内容的に商業レヴェルに達しているかというと面はゆい
ところで、PFFの作品にはそういうのが多い。
でもまあ見所があるから海外にも紹介されている訳で、その
辺の期待値は高いと言える。
それで本作では「丸」と称されるのかな、その部屋に浮かぶ
球体が際立っているもので、それを巡る展開が物語の肝とな
る。その存在はまあSF的とも言えるもので、僕としてはそ
の辺から評価を考えてみたい。
その存在自体は、2014年4月紹介『黒四角』などにも通じる
もので、案外有り勝ちなものだ。しかしそこに『黒四角』の
ような政治思想は持ち込まずに、社会状況で描いている点は
オリジナリティと言える。
ただ僕としてはこの「丸」の存在をもう少し丁寧に描いて欲
しかった。映画の中の説明では空から降りてきたらしいが、
その辺の経緯をもう少し描き込んで欲しかった。さらにこれ
は地球の中心に向かって降りているようなのだが。
それなら例えば地球を突き抜けてリオデジャネイロ辺りに出
現するとか、それは制作費の関係で無理だったかもしれない
が、何かその辺の一工夫も欲しかった感じだ。そんなものが
あったら、もっと評価しやすい作品になったと思われる。
でもまあこの作品は監督の長編第1作な訳だし、『太陽』の
入江悠だって最初の長編はSFでよく判らなかったし、この
監督もこれからに期待したいものだ。
公開は7月8日より、東京は渋谷のシアター・イメージフォ
ーラム他で、全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『フェリシ―と夢のトゥシューズ』“Ballerina”
(2011年10月30日付「東京国際映画祭」で紹介『最強のふた
り』の製作陣が、2011年7月紹介『カンフー・パンダ』など
のアニメーターを招いて制作したパリ・オペラ座が舞台のバ
レエアニメーション。主人公は孤児院で育った少女。踊るこ
とが大好きなその少女が少年と共に脱走してオペラ座のバレ
エ学校を目指す。そこに怪我で道を閉ざされたプリマや富豪
の娘、ロシア貴族の息子などの支援者やライヴァルが絡む。
お話は有りがちだなものだが、ノスタルジックなパリの景観
など、見所は様々に用意されている。そしてバレエの振り付
けはオペラ座の振付師が担当したものだそうで、それも見事
だった。主人公の声をエル・ファニングが当てている。公開
は8月16日より全国ロードショウ。)
『ローサは密告された』“Ma' Rosa”
(2016年11月5日付「東京国際映画祭」で紹介『アジア三面
鏡:リフレクションズ』の一編を手掛けたブリランテ・メン
ドーサ監督による本年のアメリカアカデミー賞外国語映画賞
フィリピン代表に選ばれた作品。マニラのスラム街でロケが
敢行され、警察組織の腐敗などが暴かれて行く。主人公は駄
菓子屋を営む女性だが、裏の商売が密告され、逮捕を免れる
には多額の見逃し金を要求される。そして子供たちがその金
の工面に奔走する。リアルな下層階級の生活ぶりに震撼とす
るが、警察署に普通に2つ入り口があるのには、笑うという
より感心させられた。この世界の現実を僕らはもっと知らな
ければいけないのだろう。公開は7月、東京は渋谷のシアタ
ー・イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)
『世界にひとつの金メダル』“Jappeloup”
(ロサンゼルスとソウル、2つのオリンピックに出場した馬
場馬術フランス代表の騎手とその愛馬を巡る実話の映画化。
その馬は気性が荒く場体も小さかったが、跳躍力が素晴らし

[5]続きを読む

06月04日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る