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On the Production
by 井口健二
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■美しい星、ろくでなし、キングコング髑髏島の巨神
を演じていた毎熊克哉。
僕にとって渋谷は、今でも試写会などで行くことが多いが、
小学生の頃に初めてロードショウの映画を観た場所であり、
学生時代には仲間のたまり場もあって、それなりの青春を過
ごした場所でもある。
従って多少の土地勘はあるが、そんな場所に今も残る昭和の
雰囲気と、一方でヒカリエ前に移設中の銀座線渋谷駅の風景
など、見事に時代が交錯する。それは新鮮でもあり、渋谷の
実像でもあるものだ。
そんな見事に渋谷が捉えられている作品とも言えそうだが、
実は監督自身のシナリオの初稿では多少違っていたそうで、
そのリライトをした山本政志(海外でも活躍する映画監督)
にも拍手を贈りたい。
因に本作は、山本監督が主宰するシネマ☆インパクトという
ワークショップに奥田監督が講師として招かれ、その一環で
製作が進められたもの。同ワークショップからはすでに多く
の作品が生まれているようだ。
東京の裏社会というと、とかく新宿歌舞伎町が舞台になりが
ちだが、それとは一味違う「渋谷」がここに描かれている。
その雰囲気も面白かった。池袋・新宿・渋谷にはそれぞれ違
う風景があるようだ。
公開は4月15日より、東京は渋谷ユーロスペース、新宿K's
cinema他にて、全国順次ロードショウとなる。
『キングコング髑髏島の巨神』“Kong: Skull Island”
1933年製作のオリジナル以来、すでに1976年、2005年とリメ
イクもされた『キングコング』。その生誕の島を舞台にした
作品。
開幕は太平洋戦争の末期、空中戦をしていた日米の戦闘機が
相次いで墜落し、パラシュートで降下した2人の兵士は地上
でも闘いを続けようとする。そんな2人の背後に巨大生物が
現れる。
時代は下ってベトナム戦争も終わりの頃。一つの情報が気象
衛星からもたらされる。それは南太平洋に一年中嵐に閉ざさ
れた孤島があるというもの。そこに眠る資源を求めて研究者
が派遣される。
そしてベトナムからその研究者の警護に当たることになった
部隊と共に、嵐をものともしない軍用ヘリコプターで一行は
その島に到着する。ところが研究者の調査を始めると、突如
ヘリ部隊が巨大生物に襲われ、壊滅状態となる。
しかも嵐の影響か無線も通じない状況の中で、研究者たちは
島の反対側にある帰還のための集合地点を目指すことになる
が…。その一行を様々な巨大生物が襲い始める。一方、部下
を殺された部隊長は復讐に燃えていた。
出演は、2016年5月紹介『ハイ・ライズ』などのトム・ヒド
ルストン、2016年の『ルーム』でオスカー受賞のブリー・ラ
ースン。さらにサミュエル・L・ジャクスン、ジョン・グッ
ドマン、ジョン・C・ライリー。
また、前回紹介『グレート・ウォール』などの中国人女優ジ
ン・ティエンと、同じく前回紹介『無限の住人』では主題歌
を提供していたロックアーティストのMIYAVIが本作で
は俳優としてスクリーンに登場している。
実は1933年のオリジナルには同年制作された続編があって、
“Son of Kong”(邦題『コングの復讐』)と題されたその
作品では、再び島を訪れた冒険家たちが様々な冒険に遭遇す
る様子が描かれていた。
つまり本作は、その続編を巧みにリメイクしたと言えるもの
で、その部分から僕は嬉しくなっていた。因に1986年製作の
『キングコング2』は、墜落したコングが人工心臓で復活す
るというとんでもない展開にがっかりしたものだ。
そんな訳で僕は1933年版の続編の結末を想像しながら観てい
たのだが、それとは違う本作の結末にはさらに驚きが待って
いた。それは確かに本作の前に物語があったとは誰も言って
いなかったが…。
恐らく本作の公開前にはあらかたの情報は出てしまうのかも
しれないが、本作のエンディングロールでは絶対に席を立た
ないように。何も情報を入れずに観ていた僕は、エンディン
グロール後の展開に心底驚かされたものだ。
それともう1点、本作の中では地球空洞説が言及されるが、
それは物理的にはペルシダー型では成立しないもの。しかし
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02月26日(日)
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