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On the Production
by 井口健二
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■トゥー・ラビッツ、黒執事 Book of the Atlantic
2013年12月に紹介した作品では、実写で日本人の俳優が演じ
るために設定がかなり変更されていた。それは映画としての
アクションなどは中々だったと記憶しているが、本来の原作
コミックスのファンには違和感があったのかもしれない。
その辺も踏まえて、上記の2014年の作品に続いて今回もアニ
メーションでの映画化となっているものだが、これは仕方の
ないところだろう。この他にも同原作はすでにテレビアニメ
化もされており、今後はこの線での展開が図られそうだ。
ということで本作では、テレビ放送が先行されていることも
あって、主人公の背景などの説明が希薄で多少判り難い面が
ある。それは物語の途中でフラッシュバックのように紹介は
されるが、それが予備知識がないと中々判り辛い。
僕は2014年の実写版を観ていたから、設定などは何とか理解
したが、初めて観る人にはどうなのだろう? そういう観客
は想定していないということなのかもしれないが、少なくと
も主人公の来歴などは巻頭で説明が欲しい感じはした。
まあそういうやり方が古臭いという考えはあるだろうが、本
作は以前に行われたイヴェント上映などとは異なる一般上映
の作品なのだし、一般観客の理解のために多少の割り切りは
必要に思えたのだが…。
公開は1月21日より、東京は新宿バルト9他にて、全国ロー
ドショウとなる。

この週は他に
『真白の恋』
(富山県を舞台に、知的障害を持った女性とその家族の姿を
描いた作品。我が子に障害はなかったが、子育てを体験した
者としてこの親の気持ちは良く判る。そしてそれが過保護で
あることも理解できるところだ。脚本の北川亜矢子は家族に
知的障害者を持つようで、周囲の人々の目も克明に描いて行
く。そこに散りばめられた台詞は、観客の胸にも突き刺さる
ものだ。そんな物語を富山出身の坂本欣弘監督が温かく包み
込むように描いている。富山も以前に何度か訪れて、レンタ
サイクルで街巡りもした経験があり、真白の立山連峰が遠望
されたり、多分見学した場所と思われるロケ地もあって嬉し
かった。公開は富山で先行の後、東京は2月25日より、渋谷
アップリンク他で全国順次ロードショウ。)
『モン・ロア 愛を巡るそれぞれの理由』“Mon roi”
(一時はリュック・ベッソンと結婚していたこともある女優
マイウェンによる長編監督第4作。カンヌ国際映画祭に出品
され、主演のエマニュエル・ベルコに女優賞をもたらした。
開幕はゲレンデ、そこで主人公は意を決したように滑走を始
めるが、次のシーンは病院でのリハビリとなる。そこから過
去10年に亙る1人の男性との恋愛事情が描かれるが…。いや
はや、優秀な弁護士でもある女性が何でこんな男に引っ掛っ
ちゃうんだろう? とは言うもののそれが恋愛というものな
のだろう。近年はベッソン=アクション映画が台頭している
フランスから伝統的な恋愛映画の復活ののろしのような作品
だ。共演はヴァンサン・カッセル。公開は3月25日より、東
京はYEBISU GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。)
『エイミー、エイミー、エイミー!
  こじらせシングルライフの抜け出し方』“Trainwreck”
(2007年のオーディション番組で認められ、2013年にはCS
放送のコメディ・セントラル局で年間最高視聴率を記録した
エイミー・シューマー主演による恋愛コメディ作品。上述の
フランス映画とは正反対かな? 幼い頃の両親の離婚で恋愛
恐怖症に陥った女性が、仕事で知り合ったセレブな男性と初
めての恋に落ちる。こちらは自分が男性の立場からすると、
何でこんな女と、という感じなのだが…。様々なセレブのゲ
スト出演も多彩で、特にアメリカのスポーツが好きな人には
楽しめそうだ。脚本はシューマーで、監督は2008年11月紹介
『無ケーカクの命中男』などのジャド・アパトーが担当して
いる。基本はスタンダップコメディの乗りだが、アメリカン
コメディの割には笑えたかな。公開は3月4日より。)
『哭声』“곡성”

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01月15日(日)
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