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On the Production
by 井口健二
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■2016年Best 10、動物戦隊ジュウオウジャーvsニンニンジャー
       未来からのメッセージ from スーパー戦隊』
テレビの人気番組の劇場版で、僕は今までこの種類の作品は
あまり観てこなかったが、昨年からは何本か鑑賞してこれが
意外と考えて作られているのに感心した。
物語は40代目スーパー戦隊ジュウオウジャーの面々が河原に
遊びに来ているところから始まる。そこは人里から少し離れ
た場所で、そこで彼らは本来のジューマンの姿で自然を満喫
していたのだが…。
そこに忍者装束の一団が襲い掛かる。彼らは39代目スーパー
戦隊ニンニンジャーの面々で、1年前まで妖怪と闘ってきた
彼らはジューマン姿のジュウオウジャーを妖怪と誤解してし
まったのだ。
そんな中、闘っていたジュウオウイーグルとアカニンジャー
の前に1人の少年が現れ、アカニンジャーの息子と言う少年
は、この誤解が解けぬまま翌日の決戦で両者が全滅し、スー
パー戦隊の歴史が終ってしまうと告げる。
その言葉を信じた2人はそれぞれのメムバーたちの闘いを止
めようとするのだが、勢いの付いた彼らを止めることはでき
なかった。果たしてスーパー戦隊の歴史はこれで終ってしま
うのか?
とまあ、お話自体はお子様向けの至って他愛もないものなの
だが…。大体、明日の決戦で死んでしまうアカニンジャーの
息子って完璧なタイムパラドックスじゃんと思って観ている
と、これが実に巧みにパラドックスを解消してくれる。
しかもそれが大人の目からすると、え、それって良いの?
と思うような展開だし、さらにそれが番組編成の形態を巧み
に突いているもので、これには思わずニヤリとしてしまった
ところだ。
正直、こんなことは子供向けなら適当に誤魔化せばいいだろ
うと思える内容だが、その辺をしっかりと辻褄合わせをして
いることに感心した。その他にも途中のシーンもしっかりと
押さえられているし、これは見事な作品だ。
恐らくお子様の目も肥えてきて、生半可だと突っ込まれてし
まうのかもしれないが、こういう目を持った子供が増えてく
れば、SFの将来も少しは明るくなるのかなと期待もしてし
まったところだ。
出演は、ジュウオウジャーの中尾暢樹、柳美稀、南羽翔平、
渡邉剣、立石晴香、國島直希と寺島進。またニンニンジャー
の西川俊介、松本岳、中村嘉惟人、矢野優花、山谷花純、多
和田秀弥と矢柴俊博。それに石川樹。
脚本は、2016年7月31日題名紹介『動物戦隊ジュウオウジャ
ードキドキサーカスパニック!』などの香村純子、監督は、
2014年『烈車戦隊トッキュウジャーTHE MOVIE ギャラクシー
ラインSOS』などの竹本昇が担当した。
なお本作では、次期41代目スーパー戦隊キュウレンジャーの
お披露目もあり、またスーパー戦隊40周年記念ということで
過去のメムバーも勢ぞろいして、そこでは嶋大輔が声の出演
をしている。
公開は1月14日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『ラビング 愛という名前のふたり』“Loving”
(2016年11月紹介『ニュートン・ナイト』でも触れられてい
た異人種間の結婚を禁止する法律を巡る実話の映画化。舞台
はアメリカ東部のヴァージニア州。そこで暮らす白人の男性
が黒人の女性と結婚したという理由だけで逮捕される。結婚
という犯罪。その判決は当然有罪。ただし執行猶予が付くが
その期間は25年間。その間は法律の及ぶ州内からの退去が命
じられ、その後も一緒に戻ることは禁じられる。つまり彼ら
は永久に故郷を追われることになる。正に差別国家アメリカ
の暗黒史というべき作品だが、最後は連邦最高裁で争われた
この裁判の結審が1967年だというのだから…。日本人もその
対象者だということも心に留めて観て欲しい作品だ。公開は
3月、全国ロードショウが予定されている。)
『マリアンヌ』“Allied”
(ロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピットとマリオン・
コティヤールの共演で、第2次世界大戦ヨーロッパ戦線での
スパイの活動を描いた作品。始まりはカサブランカ。そこで
カナダ(ケベック)人の男とフランス人の女は初対面であり

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01月01日(日)
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