ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459827hit]
■ハードコア、君と100回目の恋
卒がなくクールな彼にはまだ告白もしていない。その他にも
トラブルが発生し、モヤモヤした気分で臨んだステージは彼
女にとって最悪の出来だった。
そのため泣きながら会場を飛び出した彼女は、何と致命的な
事故に遭ってしまう。ところが彼女がふと目覚めると、彼女
の時間は事故の数日前に戻っていた。そして彼女が経験した
出来事が次々に繰り返されて行く。
何が起ったのか戸惑う彼女に、その謎の鍵を幼馴染の男子が
握っていた。
共演は、2015年11月1日付「第28回東京国際映画祭」で紹介
『残穢−住んではいけない部屋』などの坂口健太郎。他に、
2012年9月紹介『大奥〜永遠〜』などの竜星涼、2015年7月
紹介『TNGパトレイバー』などの真野恵里菜、2016年4月
紹介『秘密 THE TOP SECRET』などの泉澤祐希。
さらに田辺誠一、大石吾郎、2016年3月紹介『テラフォーマ
ーズ』などの太田莉菜、2012年7月紹介『ひみつのアッコち
ゃん』などの堀内敬子らが脇を固めている。
2015年NHK大河ドラマ『花燃ゆ』などの大島里美の脚本か
ら、監督は、東京藝術大学大学院映像研究科修了の月川翔が
担当した。
物語の展開は、2005年3月紹介『バタフライ・エフェクト』
を想起するものだが、時間を繰り返すほどドツボに嵌って行
くハリウッド作品に対して、本作ではそこに巻き込まれた主
人公たちの人としての在り方が追及されている。
その視点は間違いないものだし、SFファンとして作者がこ
の作品で描きたかったものは理解するところだ。しかし本作
では、肝心要の繰り返される出来事が曖昧で、運命を避けら
れない理由がはっきりしない。
それは勿論、そこに作者らの視点がないのは明らかだが、そ
れが描かれないとまるで主人公がバカにしか見えなくなって
しまう。つまり避けられないことが偶然であれ必然であれ、
観客にそれを提示することが作者の義務だと思うのだ。
それはかなり周到に考える必要があるものだし、作者の力量
がそこに至っていないのかもしれないが、観客を納得させる
何らかのアイデアは出すべきだし、それができない内は本作
は完成していないと思う。
口煩いSFファンの言い草だが、そこにちゃんと拘りがあれ
ば、本作は名作になり得たと思うのだ。
公開は2月4日より、全国ロードショウとなる。
この週は他に
『逆行』“River”
(ラオス農村部の診療所で働く白人の医師が、休養のため訪
れたリゾート地の島で殺人事件に巻き込まれる。しかも状況
から犯人とされた医師は辛くも島を脱出するが、共産国家の
威信に掛けた追跡が始まる。果たして彼は生き延びて自らの
嫌疑を晴らすことができるのか…? 2016年11月13日題名紹
介『バンコクナイツ』でも一部にラオスロケが行われていた
が、本作はほぼ全編ラオスで撮影されたもので、東南アジア
でもまた少し違った雰囲気が味わえる。主演はドナルド・サ
ザーランドの息子のロッシフ・サザーランド。脚本と監督は
本作が長編第1作のジェイミー・M・ダグ。異郷での逃亡劇
はかなりワクワクする作品だ。公開は3月11日より、東京は
渋谷ユーロスペース他で、全国順次ロードショウ。)
『恋愛奇譚集』
(日本でも雑誌やCMのモデルとして活動している台湾女優
ヤオ・アイニンが日本映画に初主演した作品。福島県の田園
地帯を背景に、コミュニケーションのもどかしさをちょっと
ファンタスティックな要素も織り込みながら描いて行く。共
演は2008年11月紹介『ヘブンズ・ドア』に出演の和田聰宏と
福田麻由子、2011年6月紹介『極道めし』などの内田慈。脚
本は2007年9月紹介『未来予想図』などの狗飼恭子、監督は
2016年1月紹介『華魂 幻影』に助監督として参加していた
倉本雷大。ファンタスティックな部分と本筋との関りは多少
微妙だが、全体はテーマ性も明確な作品になっている。公開
は2月4日より、新宿シネマカリテ、フォーラム福島他で、
全国順次ロードショウ。)
『ザ・コンサルタント』“The Accountant”
(2012年9月紹介『アルゴ』などのベン・アフレックが裏社
[5]続きを読む
12月25日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る