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On the Production
by 井口健二
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■バイオハザード:ザ・ファイナル、汚れたミルク あるセールスマンの告発
脚本と監督は、2005年12月紹介『美しき運命の傷痕』などの
ダニス・タノヴィチ。共同脚本に、2016年7月17日題名紹介
『クワイ河に虹をかけた男』で触れた『レイルウェイ運命の
旅路』のアンディ・パタースンが参加している。
題名からは僕らの世代では「ヒ素ミルク事件」を思い出した
が、全くレヴェルの違う話だった。それは前回題名紹介『ス
ノーデン』の食品版とも言えそうなものだが、それがサスペ
ンスもたっぷりに描かれている。
しかも本作は、実は2014年にインド=フランス=イギリスの
合作で製作されているものだが、それが未だに映画祭以外で
の一般公開がされていないのだそうだ。そんな作品が日本で
世界初公開となる。
映画の巻頭には、1970年代にアメリカ合衆国内で起きた同様
に事件に対する公聴会での音声が流される。そこでは当時の
エドワード・ケネディ上院議員の追及に企業側が屈服してい
る様子が登場する。
つまりその当時から指摘されていた事態が、その後もアフリ
カや南米でも繰り返されたという。これは確かに企業責任も
問われるべきものだろう。しかも本作の一般公開が未だに阻
害される。これもその事態の一因と言えるのかもしれない。
日本公開は3月4日より、東京は新宿シネマカリテ他で、全
国順次ロードショウとなる。
この週は他に
『人類遺産』“Homo sapiens”
(後半では軍艦島がフィーチャーされる廃墟ばかりを撮影し
たドキュメンタリー(?)作品。ナレーションも音楽も一切
なく。ただ廃墟の映像だけが羅列される。そこには☭の壁画
が飾られた巨大な屋内施設のボロボロに朽ち果てた姿なども
登場する。ただ解説の字幕もないと、自分は何を観ているの
だろう?という気分にもなるが、最近の廃墟マニアと呼ばれ
る人たちにはこれで良いのだろう。その点で言うと本作はド
キュメンタリーではなく、環境ヴィデオのような作品だ。と
は言え映画の最初で日本語の張り紙のされた自転車置き場が
写し出され、それが福島だと理解した時には、自分にそうい
う認識がなくショックを受けた。公開は2月下旬、渋谷シア
ター・イメージフォーラム他で、全国順次ロードショウ。)
『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』
“Quatsch und die Nasenbarbande”
(世界の12箇所以上の映画祭で観客賞や子供映画賞を受賞し
ている2014年製作のドイツ映画。地図上でドイツのセンター
とされる村を舞台に、その村があまりに平均的であるために
モニタリング会社が進出して巻き起こる騒動を、子供たちの
活躍で収めるというお話。中心になるのは子役というよりま
だ幼児という感じの子供たちで、その子供らの奔放な行動が
ドラマとして描き出されている。しかも合成やそこそこ大掛
かりな屋台崩しなどもあって、それらは大人の目で観ると多
少退いてしまうところもあるが、子供が観るには楽しいもの
だろう。まあたまには童心に返って楽しんで貰いたいという
作品だ。公開は2月11日よりTOHOシネマズ二子玉川他にて、
全国順次ロードショウ。)
『セル』“Cell”
(1970年代『キャリー』、80年代『シャイニング』、90年代
『ミザリー』などのスティーヴン・キングが自らの原作から
脚色も手掛けたホラー作品。よく似た題名では2001年公開の
ターセム監督『ザ・セル』があるが内容は別物。本作のセル
はセルフォン(携帯電話)のことで、携帯依存症の現代人へ
の警鐘のような作品にもなっている。主人公はコミックスの
作家。ようやく作品が出版社に売れ、地元の空港に帰着した
彼の前で惨劇が始まる。それは携帯電話での通話が切っ掛け
だった。出演はジョン・キューザック、サミュエル・L・ジ
ャクスンと、2009年9月紹介『エスター』などのイザベル・
ファーマン。公開は2月11日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ
他で、全国ロードショウ。)
『ゾウを撫でる』
(ウェブサイトのネスレアミューズで配信された1話6分×
10本の短編連作を再編集し、追加撮影も施して仕上げられた
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12月18日(日)
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