ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459827hit]
■ブレア・ウィッチ、ドント・ブリーズ
を定めてピストルを撃ちまくる。だから老人と同じ部屋に居
るときは息もしてはダメ…。しかもその老人が元軍人で滅法
強く、さらに部屋を真っ暗にして迫ってくる。
このシチュエーションには見事にやられた。その上、この後
の展開も強烈で、流石にサム・ライミが認めただけのことは
あるという感じがした。上映時間も88分と手ごろなもので、
とにかく面白かった。
因に試写の後で、「これは『ホーム・アローン』(1990年)
の裏返し」と語っている声が聞こえたが、ここで挙げるべき
はやはり1967年の『暗くなるまで待って』の方だろう。暗闇
がテーマだし、立場は逆でも主人公は女性だ。
さらに本作では、被害者であるはずの老人の設定も巧みで、
最終的には犯罪者である主人公に喝采したくなる。この多少
屈折した想いが観客に共犯者的な気分を植え付ける。これも
上手いと言える作品だった。
なお本作はホラーではなく、典型的なサスペンス作品だが、
この言葉は死語になってしまったのかな。
公開は12月16日より、東京はTOHOシネマズみゆき座ほかで、
全国ロードショウとなる。
この週は他に
『ミューズ・アカデミー』“La academia de las musas”
(2010年5月紹介『シルビアのいる街で』などのホセ・ルイ
ス・ゲリン監督による2015年製作の作品。バルセロナの大学
に勤めるイタリア人の教授が、ミューズの定義を求めてアカ
デミーを開講する。そこでは古典作品に登場するミューズな
どが検証されるが…。教授は饒舌だが何となく底が浅く、女
性の聴講生の反撃を受けてしまう。その模様がドキュメンタ
リー風に描かれる。上記の前作の紹介を読み返して、この監
督のやりたいことは変わっていないなと感心した。ただ上記
作ほどアートでなくなっているのが少し気になったが。公開
は2017年1月7日−29日に、東京都写真美術館ホールで開催
される監督特集の1本として上映される。)
を観たが、東京国際映画祭の報告もあり、全部は紹介できな
かった。申し訳ない。
11月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る