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On the Production
by 井口健二
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■フィッシュマンの涙、エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『フィッシュマンの涙』“돌연변이”
突然魚人間に変身した若者を巡るドラマ作品。
主人公は、今ではテレビ局で「食レポ」番組を担当している
ディレクター。しかし彼の願いは数年前に国中の話題を席巻
したまま姿を消した「フィッシュマン」のドキュメンタリー
を纏めることだった。それは彼がテレビ局に入る切っ掛けに
なった題材だったのだ。
その数年前、地方大学出身の彼にとってテレビ局への就職は
夢のまた夢だった。ところが彼がネットで見つけた題材を持
ち込んだテレビ局がストの真っ最中で、彼は臨時雇いでその
題材を追うことになる。その番組は話題となり、彼は正採用
となるが、取材は局名を隠したまま続行された。
それはフィッシュマンを人気者に仕立て上げ、その一方で企
業の悪事を暴き、裁判や刑事事件など社会問題にまで発展す
る。しかしそのギャップがフィシュマンを追い詰め、遂には
最悪の事態を招いてしまったのだが…。
出演は、2005年2月紹介『オオカミの誘惑』などのイ・チョ
ニ、2015年『コンフェッション 友の告白』などのイ・グァ
ンス、それに2013年4月紹介『私のオオカミ少年』などのパ
ク・ボヨン。
脚本と監督は、韓国芸術総合学校出身で短編映画を手掛け、
2013年カンヌ国際映画祭短編部門のパルムドールを獲得した
“Safe”という作品の脚本を務めたクォン・オグァン。本作
はその長編監督第1作となる。
題材としては2002年4月紹介『パコダテ人』なども思い出す
が、女性らしいメルヘンで終る日本映画に対して韓国映画で
は流石に社会問題などにも深く切り込み、見応えのある作品
になっている。
ただフィッシュマンの造形が少し不気味かな。僕は少し前に
話題になった高知県のゆるキャラ「かつお人間」を思い出し
たが、後頭部の処理がそれなりになっているのは良かった。
しかも目や口の動きなどもかなりちゃんとしている。
という少し問題なキャラクターだが、それを補って余りある
のが、ヒロイン役のパク・ボヨンの存在だろう。かわいい顔
をしてかなり大胆なこともする。そんな現代っ子(死語か)
ぶりが魅力的だ。
そして結末は、それなりに有り勝ちなものではあるが、そこ
に至る切っ掛けには思わずニヤリとしてしまう工夫が凝らさ
れていて、この辺が韓国映画の巧みさのようにも感じさせら
れた。
公開は12月17日より、東京はシネマート新宿、ヒューマント
ラストシネマ渋谷他で、全国順次ロードショウとなる。
『エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街』
“Elstree 1976”
世界的な大ヒットとなったSF映画の製作時の状況を伝える
ドキュメンタリー。
本作のタイトルだけ見て何のことか判らない人はこの作品の
観客としては不向きかもしれない。
それはロンドン郊外に在ったエルストリー撮影所での1976年
『スター・ウォーズ』第1作の製作時に関るものなのだが、
まあファンにしか興味を惹かないような話ばかりで、これは
ファン専用の作品と言えそうだ。
登場するのは撮影のエキストラに参加した人たちで、中には
ダース・ベーダーを演じたデイヴィッド・プロウズなどもい
るが、殆んどはグリードやビッグス・ダークライターなど、
ファンにか判らないようなキャラクターばかりなのだ。
しかしその人たちが伝える撮影の風景は、当時のジョージ・
ルーカス監督の姿などが活写され、それはニヤニヤしたり、
大笑いしたりなど、ファンには堪らない作品になっている。
特に監督との初対面の話はそうだろうなあと思わせる。
その他、公開版ではカットされてしまったプロローグの惑星
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11月13日(日)
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