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On the Production
by 井口健二
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■「沈黙−サイレンス−」記者会見、ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
プロローグの後、映画はリーチャーが以前の所属部署だった
軍警察のターナー少佐に連絡を取る所から始まる。そこで少
佐が女性であることを知ったリーチャーは会ってみることに
するが、ワシントンDCの本部を訪ねたリーチャーは少佐が
逮捕されたことを告げられる。
そこでリーチャーは少佐の弁護担当者を探り出し、面会した
リーチャーは事態の流れに不信感を抱く。一方、リーチャー
は娘の養育費の問題で訴えられていることも告げられ、その
娘に会うことも試みるが…。リーチャーの会った相手が次々
に殺され、リーチャーにその嫌疑が掛けられる。
斯くして、軍関連企業と軍上層部の癒着に関る大きな疑惑が
リーチャーの前に出現し、それを巡ってターナー少佐やリー
チャーの娘をも巻き込んだ物語が展開される。
共演は、2012年6月紹介『アベンジャーズ』に出演のコビー
・スマイルダーズ、2015年『ストレイト・アウタ・コンプト
ン』などのオルディス・ホッジ、ダンサー出身で多くの舞台
にも立っているダニカ・ヤロッシュだが、比較的著名でない
俳優が多いようだ。
脚本は、監督のズウィックと彼の盟友であるマーシャル・ハ
ースコヴィッツ、それに2012年9月紹介『エクスペンダブル
ズ2』などのリチャード・ウェンクが加わっている。ズウィ
ックの監督歴では比較的文芸的な作品が多いと思うが、本作
のアクションはウェンクが支えたのだろうか。
因に、リー・チャイルドの原作ではジャック・リーチャーの
シリーズは既刊21冊を数えるもので、前作『アウトロー』は
その第9巻、そして本作は第18巻となるものだ。そこで英語
版のWikipediaでこの原作をチェックすると、物語の概要は
そこに載っているものと一致するようだ。
ただし原作ではターナー少佐はすでに第14巻と第15巻でも登
場しているそうで、映画の最初の方でリーチャーが少佐を女
性と知って驚くそぶりをするのは、ちょっと原作とは違えら
れている。その第14巻は「61時間」という邦題で翻訳も出て
いるようなので、チェックすると面白そうだ。
公開は11月11日より、東京はTOHOシネマズ新宿、新宿ピカデ
リー、新宿バルト9他で、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『浅草 筑波の喜久次郎 浅草六区を創った筑波人』
(昭和の前半まで隆盛を誇った浅草六区の基礎を築いたとさ
れる筑波出身の侠客を描いたドラマ作品。SF仕立にしてく
れたのは良いのだが、ちょっと中途半端で却って夾雑な感じ
になってしまっている。それよりもっと本人の行動を詳細に
描いて欲しかった。でもそれをすると多分製作費が膨大にな
ったのだろう。これはこれで人物の紹介にはなっているのだ
が…。公開は12月3日より、全国順次ロードショウ。)
『After 10 Years』
(2004年のスマトラ沖地震で甚大な被害を受けたスリランカ
のホテルの10年後を写真家のホンマタカシが撮影した作品。
後半には多少地震のことも描かれるが、ほとんどはホテルの
日常を撮影したもので、無事10年を迎えたということでは、
関係者にとっては良いのだろうが、それが観客には伝わって
こない。紹介されるいくつかの証言はそれなりだが…。公開
は、2016年11月末渋谷イメージフォーラムにて。)
『ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男』“Relève”
(映画「ブラック・スワン」の振付師で、ナタリー・ポート
マンの夫のバンジャマン・ミルピエの、パリ・オペラ座への
挑戦を追ったドキュメンタリー。史上最年少の芸術監督とし
て新作を手掛けながら、350年の歴史を持つ劇場の伝統や慣
習との対峙が描かれる。ただその対峙の部分は微妙で、新作
の創作ノートのような場面が多い。それはファンには貴重な
ものだろうが…。公開は12月23日より、渋谷Bunkamura ル・
シネマにてロードショウ。)
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。

なお今週はこの他に東京国際映画祭の事前試写も行われ、
コンペティション作品6本など全部で8本を鑑賞したが、
その報告は映画祭終了後に纏めて行う予定だ。

10月23日(日)
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