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On the Production
by 井口健二
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■造られた殺人、MICメン・イン・キャット、オー・マイ・ゼット!
と言い争いになり、部下をクビにしようとした瞬間、落雷の
直撃に遭い社長と猫の身体が入れ替わってしまう。しかも社
長の身体は昏睡状態に…。
この事態に部下は計画を推し進めようとし、猫の姿でその陰
謀を知った社長は、人間の言葉も喋れない猫の姿のままその
阻止に乗り出す。しかしそれは簡単に出来るものではなく、
部下の計画は着々と進行。そこに社長の息子も加わり、事態
は思わぬ方向に展開する。
共演は、2010年1月紹介『バレンタインデー』などのジェニ
ファー・ガーナー、2016年8月紹介『ジャングル・ブック』
では声優を務めていたクリストファー・ウォーケン。
因に、本作でスペイシーの役名のトムと、ウォーケンの役名
のフェリックスは、いずれも著名な猫のキャラクターの名前
だが、調べたらガーナーの役名のララにも猫のキャラクター
がいるようだ。そんなことにも拘っている作品だ。
主演はスペイシーだが、実は作中のかなりの部分は昏睡状態
で病床に寝たまま。替わって大活躍するのが6匹で演じられ
たという猫。CGIも使われていると思うが、エンディング
ロールのスタッフ欄の先頭には、2人のアニマルトレーナー
の名前が掲げられ、特別の敬意が表されていた。
なおウォーケン扮するフェリックスが自分を紹介するときに
cat whispererという言葉を使っていた。これには1998年の
ロバート・レッドフォード監督作品『モンタナの風に抱かれ
て』の原題“The Horse Whisperer”を思い出した。
字幕では「トレーナー」となっていて、それも誤りではない
が、少しニュアンスを感じたいところだ。
2016年6月紹介『ペット』は見事に犬好きを納得させる作品
だったが、本作では猫好きが大喜びしそうだ。僕自身、子供
の頃に猫を飼っていた経験もあるので、その目で観ていても
これは堪らない作品だ。
公開は11月25日より、全国ロードショウとなる。
『オー・マイ・ゼット!』
予告編ディレクターとして100作品以上の洋邦画を手掛けて
きたという神本忠弘監督による本編デビュー作。
背景はゾンビ禍が終息した世界。そこに久し振りにゾンビが
現れる。そして1人の若者がそのゾンビを一軒の民家に閉じ
込めることに成功するが…。その民家の住人や他にもゾンビ
を追ってきた男女などが登場し、ゾンビを巡って人々の思惑
が交錯する。
警察に通報すれば即殺処分という状況下で、そのゾンビを利
用して一儲け企む連中や、逆にゾンビに愛情を注ごうとする
人など。何たって事件の起こった場所の地名が露目路町とい
うくらいで、見事にジョージ・A・ロメロ監督にリスペクト
した物語が展開される。
出演は、お笑いトリオ“東京03”の角田晃広、2012年6月
紹介『ハイザイ〜神さまの言うとおり〜』などのともさかり
え、2013年12月紹介『ハロー!純一』などの森下能幸、同年
4月紹介『俺俺』などの町田マリー。
それにジュノンボーイ出身の柾木玲弥と、8月21日題名紹介
『オケ老人』などの萩原利久。他に声の出演で、玄田哲章、
間宮くるみら。
ゾンビと日常が並立する世界ということでは、2014年に放送
された『玉川区役所 OF THE DEAD』などもあるが、本作の場
合はゾンビ自体はあまり登場せず。主にその取り扱いを巡る
論議を描くというのは、案外日本的な感じもするものだ。
しかもほとんどのシーンが屋内の一室で進む会話劇で、これ
は事前に舞台劇でもあるのかと思ったが、本作は映画オリジ
ナルのようだ。それにしてもかなり巧みな展開には、舞台公
演で練り上げられた雰囲気もあった。
僕自身がゾンビものは好きなジャンルではあるが、近年の走
り回るゾンビなどはパロディとしても面白くは感じない。そ
の点で言ってもロメロ・ゾンビを丁寧に再現した本作は気に
入った作品だ。
といっても、ロメロ自身は常々死者に対するリスペクトを説
いているものだが、本作にそれはあまり感じられないかな?
しかしそれ以上に人間の酷さが描けており、これも有りだろ
うとは思えるところだ。
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10月09日(日)
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