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On the Production
by 井口健二
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■追憶(2015)、TOMORROW パーマネントライフを探して、東京国際映画祭記者会見、東宝/ワーナー邦画記者会見
されなかったが、フランス人には常識なのだろう。
とまあ、ここまでは見た目にも判り易く、取材地は異なるに
せよ今までにも紹介されていた事象が多かったのだが、この
次からは過去の作品ではあまり記憶になかった問題が取り上
げられて行く。
その最初は経済問題。ここではまずはフランスの地域密着型
の企業が紹介され、次いでイギリスから地域通貨という取り
組みが報告される。これには東京でも各区が発行する買物券
みたいなものはあるが、そのレヴェルが違う。
何しろ首長の給料の一部もこれで支払われ、これが流通する
ことによって地産地消が完璧に達成されるというのだ。確か
にその地域でしか通用しない通貨が、その地域内での流通を
活発化させるのは明らかだ。
これによって、遠距離輸送などによって生じる無駄な経費や
環境問題も解消される。特に、今までの経済活動の基本かの
ように言われてきたグローバル化という言葉の無意味さが俄
かに認識される、見事なレポートだった。
さらに本作は民主主義という言葉の定義にも言及し、アメリ
カがすでに寡頭政治というべき状態に陥っているという指摘
や選挙制度の矛盾、それを解決するための究極の方策なども
紹介し、これも目から鱗が落ちる気分だった。
そして最後は教育問題に移るが、これには今年公開『マイケ
ル・ムーアの世界侵略のススメ』などもあったが、その取材
のレヴェルが全然違う感じで、深く突っ込んだものになって
いた。
この様に見事に世界各国の取り組みの現状が紹介される作品
だが、実は作品中に日本の紹介が全くない。中ではサミット
の記念写真で、日本の首相がど真ん中にしゃしゃり出る映像
はあるが、それが皮肉にも見える風景になっている。
さも有りなんではあるが、この映像には日本国民として全く
恥ずかしくなる、そんな気分にもさせられる作品だった。
公開は12月より、東京はシアター・イメージフォーラム他に
てロードショウとなる。

続いては記者会見の報告を2つ。
「東京国際映画祭記者会見」
今年は10月25日から11月3日まで10日間に亙って開催される
映画祭のラインナップ発表記者会見が行われた。
今回、会期中の上映作品は200本を超える見込みで、その内
のコンペティション部門は16本、アジアの未来部門が10本、
日本映画スプラッシュ部門8本、ワールド・フォーカス部門
19本などを注目したい。この内の何本が観られるか? コン
ペは出来るだけ制覇したいと思っているが。
なおコンペには日本から、8月21日に題名紹介『アズミ・ハ
ルコは行方不明』など2本が選出されているが、記者会見に
ゲスト登壇した蒼井優が選出された喜びを語る一方で、自ら
も主演女優賞候補であることを知らなかったようで、それを
告げられた時に素で驚いていたのが面白かった。
この他、クロスカット・アジアはインドネシア映画の特集。
また日本映画クラシックスとして、1953年の『雨月物語』、
1955年の『浮雲』、1962年の『キングコング対ゴジラ』、
1980年の『復活の日』、1983年の『里見八犬伝』がそれぞれ
4Kリマスターにて上映される。
9月紹介『七人の侍』で4Kリマスターの素晴らしさを報告
したが、それが基準になったことは嬉しい限りだ。

「東宝/ワーナー邦画記者会見」
すでに報道もされていると思うが、ここでは人気コミックス
『ジョジョの奇妙な冒険』の実写映画化が発表され、監督と
主要キャストが登壇しての会見が行われた。
その監督は三池崇史、そしてキャストは山阜ォ人、神木隆之
介、岡田将生、真剣佑、小松菜奈、山田孝之、伊勢谷友介と
いうものだ。他にキャストとして國村隼、観月ありさの名前
も報告された。
原作は、既刊117巻、累計販売部数9000万部を超え、現在は
第8部が連載中のものだが、映画化されるのはその第4部の
「ダイヤモンドは砕けない」で、宮城県仙台市をモデルとし
た杜王町が舞台。ただし撮影はスペイン・カタルーニャ州の
シッチェスで行われるとのことだ。
因にシッチェスは、三大ファンタスティック映画祭の一つと

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10月02日(日)
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