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On the Production
by 井口健二
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■ホドロフスキーの虹泥棒、ちょき
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ホドロフスキーの虹泥棒』“The Rainbow Thief”
1970年の『エル・トポ』や2014年3月紹介『ホドロフスキー
のDUNE』などのチリ人監督アレハンドロ・ホドロフスキーに
よる1990年製作のイギリス作品。実は製作時のトラブルで、
当時は87分のヴァージョンで上映されたが、今回は監督自身
の監修による92分版が日本初公開される。
物語の始まりに登場するのは、港で暮らす風来坊のディマ。
彼はこそ泥で生計を立てているが、同時に街の地下道にも精
通しているようだ。
続いて描かれるのは大富豪の会食の席。そこに財産を狙う連
中が集まるのだが、全て飼い犬が優先の料理に皆は這う這う
の体で逃げ出してしまう。そしてその後には娼婦たちが招か
れ、乱痴気パーティが始まる。
ところがそのパーティの最中に富豪が発作で倒れる。そこで
遺書の開示が求められるが、富豪が昏睡状態で死んでないた
め、開示は死亡の確定まで留め置かれることになる。そんな
騒ぎをよそに富豪の甥は愛犬と共に街を彷徨っていた。
その甥が落す占いカードに誘われたディマは、彼を地下道に
匿い富豪の遺言が開示される日を待つことになる。こうして
ディマはこそ泥などで稼いだ金をつぎ込んで富豪の甥の面倒
を見続けるが、時は瞬く内に数年が経ってしまう。
そしてその間も地下道に匿われたままの富豪の甥は、愛犬を
亡くしたショックもあって少し精神がおかしくなり始めてい
た。そこについに富豪の死が伝えられるが…。
出演は、オマー・シャリフとピーター・オトゥール。それに
富豪役でクリストファー・リー。因にシャリフとオトゥール
は1962年『アラビアのロレンス』での初共演から3度目とな
る共演作だ。
撮影はポーランドのグダニスクで行われ、その撮影中に製作
者と衝突したホドロフスキーはその後のプロモーションには
一切関らなかったとされている。しかし『ホドロフスキーの
DUNE』の製作が色々な呪縛を解いたようで、2014年の来日時
には本作にも言及し、今回の公開に繋がっている。
物語的には多少掴みどころのない作品だが、何となくDUNEの
砂漠の宮殿にイメージの繋がる富豪の甥が匿われた地下道の
様子など見どころはいろいろある。特にそこが水没して行く
シーンは、主人公たちの心情と共に巧みに描かれている。
撮影の行われたグダニスクの風景も美しく、また富豪の飼い
犬として多数登場のダルメシアンや甥の愛犬の大型犬など、
犬も活躍する作品だ。正直に言ってホドロフスキーのファン
がどう取るかは判らないが、こんな作品も良いものだ。
公開は11月12日より、東京は渋谷アップリンク他で、全国順
次ロードショウとなる。

『ちょき』
2013年10月紹介『ゆるせない、逢いたい』が長編デビュー作
だった金井純一監督の第3作。
主人公は、和歌山県の小さな町で美容院を営む男性。数年前
に妻を亡くし、その痛手からまだ立ち直れていないようだ。
そんな彼の許に1本の電話が架かる。それは最初は無言だっ
たが、2度目には「ちょきさんですか?」と訊ね、主人公は
「サキちゃんかい?」と返す。
その少女は、以前に美容院の2階で妻が開いていた書道教室
に通っていた。しかし10年前のある事件で視力を失い、専門
の施設で暮らしていた。そして高校卒業の年齢に達し、次に
進むべき道を決める時期に来ていた。そんな折に昔を思い出
して主人公に電話を掛けてきたのだ。
こうして主人公は、10年ぶりに美容院を訪ねてきた少女と再
会することになるが…。
出演は、2012年4月紹介『道−白磁の人−』などの吉沢悠、
金子監督の短編デビュー作に出ていたという増田璃子。

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09月25日(日)
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