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On the Production
by 井口健二
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■ハドソン川の奇跡、七人の侍、スター・トレック BEYOND
橋で行われた特別上映に駆けつけた。そこには本作のスクリ
プターだった野上照代氏、俳優の仲代達矢氏も来場されて、
上映後には対談も公開された。
そこで野上氏は、「こんなに美しい画面で観られるなんて、
これを黒澤さんにも見させてあげたかった。」と感激の面持
ちで発言され、さらに今回は音声もクリアにされたことに関
して「三船さんの台詞が聞き取れないと文句を言われたが、
これならちゃんと聞き取れる。」と…
これは従来の光学式サウンドトラックでは、リプリントの度
に劣化が激しく、それが音声を不鮮明にしていたものだが、
今回はその部分も画像取り込みで処理することによって、音
声もオリジナルの通りに再現されたものだ。
実際に三船の演じる菊千代が百姓生活の苦しさを語るシーン
は、演技との兼ね合いでくぐもった声ではあるものの、その
内容はしっかりと聞き取れるものになっていた。
この他にも、画面の傷取は勿論、上下の揺れや画面間の明る
さの変動なども今回は見事に修復され、3時間半近い上映時
間を過ごしても目の疲れなどを感じないものになっている。
最近は往年の名作のディジタルリマスターを観る機会が増え
ているが、正直に言ってここまで完璧なリマスターは初めて
だと言える。今後はこれを基準にして欲しいものだ。
公開は「午前十時の映画祭7」にて、まず10月8日〜21日に
TOHOシネマズ新宿他のグループAで、10月22日〜11月4日に
TOHOシネマズ日本橋他のグループBで、それぞれ2週間限定
の上映となる。

『スター・トレック BEYOND』“Star Trek Beyond”
2009年に物語の原点に戻って再開された劇場版新シリーズの
第3作。
物語は、3年間の調査任務を終えたジェームズ・T・カーク
船長以下のクルーの乗るU.S.S.エンタープライズNCC-1701が
宇宙基地ヨークタウンに帰投するところから始まる。そこに
は連邦を構成する多数の星の住人たちが共に暮らしており、
カークには基地副提督への道も開けていた。
ところがその基地に所属不明の宇宙船が接近し、乗っていた
女性異星人から未知星雲で遭難したクルーを助けてくれとの
依頼が寄せられる。そこで星雲内の航行に実績のあるカーク
にその緊急任務が命じられるが…。そこは宇宙連邦に敵対す
る勢力の巣窟だった。
出演は3作連続のクリス・パイン、ザッカリー・クイント、
カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、
アントン・イェルチン、ジョン・チョウ。
そこに本作では、2012年7月紹介『プロメテウス』などのイ
ドリス・エルバ、2015年8月紹介『キングスマン』などのソ
フィア・ブテラが新たに登場している。
監督は、前2作の監督を務めたJ・J・エイブラムスが製作
に下がって、代わりに2013年5月紹介『ワイルド・スピード
/ユーロ・ミッション』などのジャスティン・リンが担当。
脚本は、テレビシリーズを数多く手掛けるダグ・ユングと、
本作の出演者でもある2014年2月紹介『ワールズ・エンド』
などのサイモン・ペッグが共同で担当している。
作品の乗りとしては完璧にテレビシリーズ『宇宙大作戦』に
沿ったもので、それを物足りなく感じる人はいるかもしれな
いが、僕自身としてはOKの作品だと言える。それは毎度の
敵が出てきてそれをやっつけるだけということではあるが、
それはそれで毎回目先が変れば楽しめるものではある。
しかも今回は宇宙基地ヨークタウンの景観など、それは中々
の絵柄も登場するもので、それらを存分に楽しみたいを思う
作品だ。そこにクルー間の絆などが描かれれば、ファンとし
ては言うことなしだろう。ということで本作は純粋に楽しみ
たいと思える作品だ。
なお本作は昨年2月他界したレナード・ニモイに捧げられて
いる。ニモイは新シリーズの前2作にも出演しており、この
献辞は当然のものだが、今回はその想いが強過ぎてシリーズ
の成立を少し逸脱させたようにも感じる。まあ仕方ないと言
えば仕方ないが、トレッキー的には少し悩ましい。
それともう1人、本作は今年6月他界したチェコフ役のアン

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09月18日(日)
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