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On the Production
by 井口健二
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■シークレット・オブ・モンスター、ある戦争、デスノート Light up the NEW world
そして民間人からの訴えに応えた彼の部隊が砂漠の村を訪れ
た時、突然の敵襲で兵士1人が瀕死の重傷を負ってしまう。
しかも激しい攻撃に救援もままならない。そこで部隊長はあ
る決断を迫られることになるが…。
出演は、リンホルム監督の全3作や2014年8月紹介『LUCY/
ルーシー』にも出ていたピルー・アスベック、2010年8月紹
介『食べて、祈って、恋をして』などに出ていたツヴァ・ノ
ヴォトニー、監督の前作に出ていたソーレン・マリン。
僕は基本的に戦闘を描いたら反戦映画は成立しないと思って
いるが、その点で言うと本作は反戦映画ではない。戦争の是
非はともかくとして、それに巻き込まれた人の苦悩を描いた
作品だ。
2015年11月1日付「第28回東京国際映画祭<コンペティショ
ン部門> 」で紹介した『地雷と少年兵』“Under Sandet”
もそうだったが、デンマーク映画が描く戦争は、常に他国と
は違う視点に立つように感じる。
それは主戦国ではないのに、何故か戦争に巻き込まれて犠牲
を強いられる。若しくは戦争の犠牲者を傍観せざるを得なく
なる。そんなデンマークの苦悩を、本作では当事者の立場で
描きながらも訴えているように感じられた。
本作ではアフガニスタンと家庭と、それにもう一つの計3つ
の「戦争」が描かれるが、そのいずれもが明確な勝利を得ら
れてはいない。そんなもどかしさが観客にもいろいろな思い
を伝えてくれる作品だ。
本作は反戦を声高に訴えるものではないが、その思想は明確
に描かれている。それは最初のシーンから目がスクリーンに
くぎ付けになる。そして結末には何とも言えない雰囲気が漂
う。そんな感じの作品でもあった。
公開は10月8日より、東京は新宿シネマカリテ他で、全国順
次ロードショウとなる。

『デスノート Light up the NEW world』
2006年6月及び10月に紹介したコミックス原作シリーズの新
作。その原作には拠らない新たな物語が、テレビで「相棒」
シリーズの元日特番などを手掛ける真野勝成の脚本、2011年
公開『GANTZ』などの佐藤信介監督で映画化された。
物語は前作で起きた事件が終結してから10年後。警視庁には
「デスノート対策室」が設置され、そこにはデスノートを追
い続ける主人公以下の面々が各々偽名で勤務していた。因に
偽名なのはデスノートに名前を書かれないための方策だ。
そこに渋谷駅前の交差点でデスノートによるとみられる連続
死亡事件の報が入り、主人公らは直ちに出動。その目前で犯
人は死亡するが、現場からは1冊のデスノートが回収され、
直ちに厳重な監視の許で保管されることになる。
その回収を行ったのはLの後継者としてICPOから派遣さ
れていた男だった。ところがその直後にキラの後継者を名告
る男によってネットワークがジャックされ、警視庁が確保し
たデスノートの引き渡しが要求される。
斯くして、キラ、Lの後継者とされる2人と、主人公らによ
り、地上に6冊がばらまかれたとされるデスノートの争奪戦
が始まるが…。
出演は、東出昌大、池松壮亮、菅田将暉という旬な若手俳優
3人が揃う他に、戸田恵梨香、中村獅童が前作から再登場。
さらに前作から繋がる人物や新たなキャラクターらが物語を
綴って行く。
製作は前2部作を担当し、さらに『GANTZ』なども手掛けた
佐藤貴博。実は、彼は2006年10月には「これで完結」と宣言
していたものだが、佐藤信介監督と新たな企画を検討してい
た際に、語り切れていなかったことに気付いたそうだ。
そこで10年後という設定の新たな物語が始動したものだが、
本作では原作に示されたデスノートのルールが完全に踏襲さ
れ、さらに現代の世界情勢なども取り入れられた見事な物語
が描かれている。
実際に僕は、2006年10月の『デスノート the Last name』の
紹介では結末などに多少の不満を感じていたものだが、その
点も含めて本作では、完璧に物語が修復されている。それは
10年ぶりに鑑賞しても納得できるものになっていた。
実は今回の試写会ではかなり多岐に亘る緘口令が敷かれてい

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09月04日(日)
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