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On the Production
by 井口健二
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■闇金ウシジマくんザ・ファイナル、スーパー歌舞伎U:ワンピース
兄と慕ったエースが捕えられ処刑されるという話を聞く。
そこでルフィはエースが囚われた監獄の島に潜入し、救出を
目論むのだったが…。因にこの物語は、原作の中で「サバイ
バルの海 超新星編」の掉尾となる「頂上戦争編」に基づく
ものになっている。
出演は猿之助以下、市川一門と歌舞伎界の役者たちの他に、
2015年7月紹介『TNGパトレイバー首都決戦』などの福士
誠治、大衆演劇の嘉島典俊、元劇団夢の遊眠社の浅野和之ら
が脇を固めている。
脚本と演出は、「スーパー歌舞伎」を長年に亙って手掛けて
いる横内謙介、演出は猿之助との共同で、さらに先代の猿翁
がスーパーバイザーとして名を連ねている。
作品では、巻頭にルフィらの物語の来歴がナレーションで解
説されており、それはまあ仕方のないところだろう。ただ上
映時間を2時間以下にしたかったのか、途中でもほぼ1つの
エピソードがカットされてナレーション説明となっており、
その辺は少し残念な気もした。
でも題材の関係でお子様の来場も考えると、このエピソード
のカットは仕方ないのかな。まさか歌舞伎の舞台でそれほど
濃密なものが描かれたとも思えないが。
その一方で見得や台詞回しなどは歌舞伎の演出がしっかりと
残されていて、それは大げさであったり滑稽であったりもす
るが、普通の映画やドラマとは違う世界を味あわせてくれる
感じもするものだ。
ただし舞台装置や衣装など全体的にはかなりポップな雰囲気
に作られていて、特に群舞のシーンなどは歌舞伎というより
「劇団☆新感線」を観ているのかと思うほどだった。
そしてさらに多量の水を使用した立ち回りやそれに続く宙乗
りのシーンなどは、観客席も巻き込んだ素晴らしい演出で、
その迫力にも圧倒された。他にも巨大な造形物やプロジェク
ションマッピングなど、これは生の舞台も観たくなる。
その意味ではスーパー歌舞伎の宣伝の効果も大きそうだ。
公開は10月22日より、東京は東劇。新宿ピカデリー他にて、
全国ロードショウとなる。
この週は他に
『種まく旅人 夢のつぎ木』
(2012年1月22日紹介『みのりの茶』で始まったシリーズの
第3作。実は2015年に『くにうみの郷』という作品も観せて
貰ったが紹介は割愛してしまった。ただ前2作は伝統農法的
なものが背景だったが、本作は人々の繋がりの話でテーマが
少し変ったかな。それも今では失われたのかもしれないが。
公開は10月22日より岡山先行の後、全国ロードショウ。)
『アズミ・ハルコは行方不明』
(山内マリコ著(幻冬舎刊)の小説を、2011年12月紹介『アフ
ロ田中』などの松居大悟が蒼井優を主演に迎えて映画化。一
女性の失踪を中心にその前後の状況が並行して描かれる。こ
の出版社の作品はエピソードの羅列ばかりでストーリーが希
薄のことが多い。本作も同様。それが受けているらしいが。
公開は12月に新宿武蔵野館他で予定。)
『華麗なるリベンジ』“검사외전”
(2016年5月1日題名紹介『ヒマラヤ』などのファン・ジョ
ンミンと、2012年1月紹介『超能力者』などのカン・ドンウ
ォンの初共演で、韓国法曹界の闇を描いた作品。嵌められた
元検事が法律を盾に復讐する話だが、主役の2人が全く善人
でないところが上手い。コメディタッチも巧み。公開は11月
12日よりシネマート新宿他で、全国順次ロードショウ。)
『ブルーに生まれついて』“Born to Be Blue”
(2015年11月1日付「東京国際映画祭」では原題で紹介した
作品。実は映画祭の時は多少引き気味だった作品だが、観直
すとそれなりに主人公の哀しみも伝わってきた。ただし名声
のある人物の実話の映画化では、これが限界かと思うシーン
もある。もっとシビアに描くべきだとも思える。公開は11月
26日より角川シネマ新宿他で、全国順次ロードショウ。)
『オケ老人』
(連続テレビ小説『ごちそうさん』の主演でブレイクした杏
が映画初主演を飾った作品。演奏会で感激して楽団への入団
を希望したものの、間違ってよく似た名前の別の素人楽団に
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08月21日(日)
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