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On the Production
by 井口健二
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■手をつないでかえろうよ シャングリラの向こうで、シリア・モナムール
かれており、その状況などは先に理解していた。とは言えそ
の過酷な状況は、ホムスだけに限られたものではない。
そんなアラブの国の現状が痛切に感じられる作品になってい
る。しかし一方で本作は、それらが極めて誌的とも呼べる構
成で綴られたもので、その落差のような感覚が僕にはある種
の驚きでもあった。
それは写し出される映像の激しさ、過酷さなど言葉に尽くせ
ない衝撃ともあいまったもので、それが誌的な構成との落差
によってより大きく表現されている。この不思議な感覚が本
作の価値と言える。
そしてそれが世界に向けて見事に発信されている。
それにしてもこの極限状態の中で、予想以上に多くの子供た
ちが暮らしているという事実にも驚かされた。そこには小学
校まで存在する。『それでも僕は帰る』のときにはそれなり
に若者の心情は理解できたのだが…。
因に『ヒロシマ・モナムール』は1959年アラン・レネ監督の
『二十四時間の情事』のこと。SF映画ファン的にはタイム
トラヴェルの要素もあるとされる作品だが、本作にはレネへ
のオマージュも感じられた。
公開は6月より、東京は渋谷シアター・イメージフォーラム
ほかでの全国順次ロードショウが予定されている。
この週は他に
『少女椿』
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
“Batman v Superman: Dawn of Justice”
『セトウツミ』
『オオカミ少女と黒王子』
『ふたりの桃源郷』
『嫌な女』
『ノック・ノック』“Knock Knock”
『サブイボマスク』
『カルテル・ランド』“Cartel Land”
『スティーヴ・マックィーンその男とル・マン』
“Steve McQueen: The Man & Le Mans”
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。
03月27日(日)
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