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On the Production
by 井口健二
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■団地、帰ってきたヒトラー
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『団地』
2016年1月紹介『ジョーのあした』などの阪本順治監督が、
自ら脚本も手掛けて制作した2013年7月紹介『人類資金』以
来となるドラマ作品。
物語の舞台は大阪市の郊外にある空き家の目立つ団地。登場
するのはその団地に最近引っ越してきた初老の夫婦。夫婦は
近くの商店街で伝統ある漢方薬局を営んでいたが、ある事情
から店を畳んだようだ。
そんな夫婦の許にちょっと奇矯な男が訪ねてくるところから
物語は開幕する。その男は親族のために夫婦の作る漢方薬が
必要だと説明し、特別に薬品を調合して呉れるように懇願。
保存していた薬草で作って貰えることになる。
一方その団地では、子供の虐待など様々な事件が起きている
ようだが、優柔不断な自治会長は中々その解決に当ろうとし
ない。そして自治会長の選挙が行われ、夫婦の夫も他薦でそ
の候補者になる。
ところがその選挙の開票の当日から夫の姿が消える。しかし
妻は意に介していないようで、普段通りの姿を見せ続ける。
その姿が憶測を呼び、夫婦の周囲はただならぬ事態となって
行くのだが…。
出演は、藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、それに
斎藤工。さらに竹内都子、濱田マリ、宅間孝行、三浦誠己、
麿赤兒らが脇を固めている。
本作の後半の展開に関しては、SF映画ファンとして素直に
嬉しく思った。正直に言ってこのクラスの日本の監督がこの
様な展開を描けるとは予想していなかった。しかも的確に描
かれている。
『人類資金』やその前の『亡国のイージス』の流れから考え
るとこれも有かなとは思えるが、全体が大阪土着のこの雰囲
気の中でこれを描くのは相当の確信犯だと言える。そのこと
が僕には嬉しくて仕方のないものだ。
今年は1月紹介の『太陽』に始まって、日本のSF映画に秀
作の多い予感がしたが、その後も『あやしい彼女』『スキャ
ナー』『ひそひそ星』など、すでにBest 10が埋まりそうな
勢いだ。この調子が続くことを期待したい。
なお本作の結末に関してはいろいろ解釈が成り立つもので、
正直にはもう少しヒントがあってもいいかなとも思えるが、
これはこれで良い結末だと言える。「まあ何か判らないけど
良かったね」それで良い作品なのだ。
公開は6月4日より、東京は有楽町スバル座、新宿シネマカ
リテ、ユナイテッドシネマとしまえん他で、全国ロードショ
ウとなる。
『帰ってきたヒトラー』“Er ist wieder da”
2012年に発表されてドイツ本国ではベストセラーになったと
いう長編小説の映画化。
第2時世界大戦末期の1945年に自殺し、遺体はガソリンで焼
かれたとされているナチス総統アドルフ・ヒトラーが現代に
甦る。しかも自殺直前の記憶を持たない総統は当時の記憶の
ままに行動を開始する。
ところがその行動は「ヒトラーそっくりの役者かコメディア
ン」と誤解され、彼の言動は「芸」としてメディアの評価を
受けてしまう。そして特に過激な発言は強烈な風刺と受け取
られ、社会現象となって人気が高まって行く。
斯くして彼はメディアに持て囃され、人気者になって行くの
だが、彼自身は政権の復活を目論んでいた。
出演は、殆んどがドイツのテレビで活躍している俳優たちの
ようで、主演のオリヴァー・マスッチの他には、ファビアン
・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルブスト、カッチャ・
リーマンなどとなっている。
なお、アドルフ・ヒトラー以外の登場人物の名前が原作のも
のから俳優名に併せて変更されているのは、他に実名で登場
する人物が多いせいなのかな? その辺の製作事情はちょっ
と知りたくなった。
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04月03日(日)
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