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On the Production
by 井口健二
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■ひそひそ星、探偵ミタライの事件簿−星籠の海−、スクール・オブ・ナーシング、ズートピア
プ〜生まれ変わりの物語〜』などの広瀬アリス。他に、石田
ひかり、小倉久寛、要潤、谷村美月、吉田栄作らが脇を固め
ている。
脚本は、2008年10月紹介『青い鳥』などの監督でもある中西
健二と、2006年8月紹介『地下鉄(メトロ)に乗って』など
の長谷川康夫。監督はテレビ『相棒』シリーズのメイン監督
を務める和泉聖治が担当した。
原作の相棒役は石岡という作家のようだが、テレビでは堂本
光一が演じたキャラクターは本作では名前だけで、代わりに
映画版オリジナルの女性キャラクターが登場している。それ
が原作のファンにどう映るかは判らないが、広瀬のちょっと
コメディリリーフ的な役柄はそれなりに良かったと思える。
ただ物語全体のちょっと強引な展開は、映画用にアブリッジ
したために顕著化してしまったとも思えるが、まあ、あれよ
あれよという感じでもあった。でもそれが原作の持ち味で、
読者が認めるならそれで良いのだが。
いずれにしても、歴史に纏わる壮大な謎解きや星籠のVFX
も、物語全体としてのバランスの中で気持ちよく収まってお
り、エンターテインメントの映画作品としては満足できるも
のだ。
とは言うものの、映画ファンとしては結論として明かされる
星籠の秘密には、1970年のビリー・ワイルダー監督作品も思
い出してしまうもので、トリックの流用を嫌う原作者がそれ
を知らなかったのかどうか。その点はちょっと気になったと
ころだ。
公開は6月4日より、全国ロードショウとなる。

『スクール・オブ・ナーシング』
熊本県人吉市を舞台に、様々な理由で看護師を目指す4人の
男女が初めての病院で実習を通じて成長して行く姿と、患者
との交流を描いた作品。
主人公は幼い頃に母親を亡くし、その母親が闘病した病院で
看護師を志すようになった若い女性。彼女は看護師養成機関
で勉強を続けていた。そして彼女の周囲には、地球防衛軍の
夢を諦めて看護師を目指す若者や、30代半ばでリストラされ
た男性、シングルマザーの女性などもいた。
そんな男女が学内での勉学の期間を終えて病院での実習の時
を迎える。ところが主人公は、初日から担当するはずだった
患者が急死し、予定を変更して担当することになったのは、
余命を宣告されながらも毅然とした態度で最後の日を迎えよ
うとしている男性だった。
その他の3人が担当するのは、それぞれ女好きの僧侶や、男
を手玉に取るやり手の女経営者、さらに死期の迫った女性と
長年連れ添いながらも胸の内を語れなかったその夫。そんな
様々な人生が病室の内外を通じて語られ、看護師たちはそれ
に寄り添って行くことになる。
主演は、2015年に女優デビューして本作が2作目という霧島
ココ。他に、2016年2月紹介『ドロメ』などの大和田健介、
2009年9月紹介『ASSAULT GIRLS』などの佐伯日菜子、TV
俳優の木村知幸。さらに愛華みれ、榎木孝明、吹石一恵らが
脇を固めている。
監督は、1964年生まれでフリーランスの助監督を長年務め、
本作が事実上のデビュー作となる足立内仁章。脚本は、主に
テレビ、舞台で活動してきた児島秀樹。また製作は、2007年
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』などを担当した山際新平と、
元々の企画者である山崎歩となっている。
因に本作は山崎の第1作となるものだが、本作の原案は山崎
の母親が著したもので、長年看護教育の現場にいる人だから
こその物語が展開される。ただし看護教育の現場は、現在は
厚労省管轄の養成機関と、文科省管轄の看護大学の間で揺れ
ているのだそうで、今回の試写後に行われたQ&Aではその
点も紹介されていた。
とは言え、映画の中では特に佐伯日菜子の介護の手際が見事
で、それは山崎の母親が撮影現場にも立ち会って指導したも
のだそうだが、これは本当に納得できる「演技」だった。
それと監督の演出では、クライマックスの港のシーンは正に
出色と言える。特に映像との絡み合いが素晴らしかった。
公開は撮影地元の熊本ではすでに先行上映が行われたものだ

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03月06日(日)
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