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On the Production
by 井口健二
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■X−ミッション、ジョーのあした、Mr.ホームズ、ジプシーのとき、バナナの逆襲、いいにおいのする映画
ところがそこには1戦でも負けたら引退の条件が付けられて
いた。そして1994年に行われた世界戦では敗れた辰𠮷だが、
さらに海外での対戦を続け、遂に1997年3度目の世界王座返
り咲きを果たす。
その後は2度の防衛に成功するも1998年の防衛戦で敗戦。さ
らに2008年に年齢規定により国内ライセンスが失効。それで
も辰𠮷はタイ王国で戦いを続け、4度目の王座への返り咲き
を狙っている。
そんな辰𠮷の姿を阪本監督は、1995年にラスヴェガスで行わ
れた再起戦から2014年まで20年間に亙って追い続けた。そこ
には1999年に他界した父親との思い出や、同じ道を歩み始め
た息子への思いなども語られる。
ボクシングに興味がある訳でもない自分にとって、この作品
は特に食指が動くものではなかった。しかし昨年の東京国際
映画祭のパノラマ部門に出品され、初日の上映では他に観る
ものもなくて鑑賞したものだ。
ところがその内容では、特に家族の関係が巧みに描き込まれ
ていて、何か心地良い感じで観ることができた。それは阪本
監督の上手さなのかもしれないが、特にボクサーを英雄に祀
り上げるでもなく、淡々と描かれた作品は見事だった。
そして今回は、マスコミ試写の案内を受けて再度同じ作品を
観に行ったものだが、今回は躊躇いもなく再見ができた。そ
れは作品の出来にも納得していた為だが、さらに今回は内容
の理解も進んで、一層満足できた感じだ。
ナレーションを豊川悦司が担当。
公開は2月20日よりシネ・リーブル梅田ほかで大阪先行上映
の後、東京はテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷
にて2月27日より、さらに全国順次ロードショウとなる。

『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』“Mr. Holmes”
2006年4月紹介『ローズ・イン・タイドランド』(テリー・
ギリアム監督)の原作者ミッチ・カリンが、2005年に発表し
た小説“A Slight Trick of the Mind”を、2005年5月紹介
『愛についてのキンゼイ・レポート』などのビル・コンドン
監督、『LOTR』などのイアン・マッケラン主演で映画化
した作品。
物語は、かなり高齢の男性がイギリスの田舎町の駅に降り立
つところから始まる。男性は著名らしく周囲の人からも注目
されているが、それには構わず帰り着いた邸宅で彼は、取る
ものも取り敢えず庭に置かれた養蜂箱の世話に勤しむ。
そう彼こそは老境を迎えた名探偵シャーロック・ホームズな
のだ。そんなホームズの振る舞いはワトソンによって描かれ
た人物像とは多少異なっているが、それでも名声を誇った探
偵への憧憬は今も続いているようだ。
ところが彼自身は老いを自覚しており、減退する記憶との闘
いの中で、ワトソンが真実を描けなかったある事件の真相を
探ろうとしていた。それは自らの失策により引退を余儀なく
されたものであり、そのため遠く日本まで赴いたのだ。
こうしてホームズ最後の事件の真相と、訪れた日本での出来
事、さらにはホームズの身の回りの世話をする母子との生活
が、いまだ衰えぬホームズの推理力と共に描かれて行く。
共演は、2014年に“Robot Overlords”というイギリス製の
SF作品で演技デビューを飾っているマイロ・パーカーと、
2012年8月紹介『最終目的地』などのローラ・リニー、それ
に真田広之。
他に、2008年9月紹介『バンク・ジョブ』などのハティ・モ
ラハン、2007年12月紹介『つぐない』などのパトリック・ケ
ネディ、そして1985年『ヤング・シャーロック』で若き日の
ホームズを演じたニコラス・ロウが劇中映画のホームズ役を
演じている。
本編の中でホームズが訪れる日本のシーンに関して、エンド
クレジットでは千葉県の地名なども挙がっていたが、実際に
はイギリス国内で撮影されたようだ。しかしそこに描かれる
ものにはちょっと驚かされた。
恐らく原作がそうなのであろうが、日本人には考えさせられ
るものだ。
公開は2016年3月、TOHOシネマズ シャンテほかで全国順次
ロードショウとなる。

『ジプシーのとき』“Dom za vešanje”

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01月10日(日)
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