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On the Production
by 井口健二
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■2015年Best 10、ザ・ウォーク、ジョギング渡り鳥、ミラクル・ニール!
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『ザ・ウォーク』“The Walk”
2009年4月紹介のドキュメンタリー作品『マン・オン・ワイ
ヤー』を、2009年11月紹介『クリスマス・キャロル』などの
ロバート・ゼメキス監督が3D映像でドラマ化した作品。
フランス人の大道芸人プティは綱渡りを生業としていたが、
自分の目標とするものを決められないでいた。そんな彼が目
にしたのはニューヨーク・ワールド・トレード・センターの
建設記事。そのツインタワーの姿に魅せられたプティは、そ
の棟の間に綱を張って渡り切ることを夢見るようになる。
そして大道芸で知り合った恋人や仲間と共に準備を重ね遂に
その日を迎えるが…。
出演は、2010年7月紹介『インセプション』などのジョセフ
・ゴードン=レヴェット、2013年5月紹介『恋のベビーカー
大作戦』などのシャルロット・ルポン。他に、ベン・キング
スレー、2007年9月紹介『アヴリルの恋』などのクレマン・
シボニーらが脇を固めている。
実は以前のドキュメンタリーの紹介文を読み返して、自分が
かなり批判的に書いていたことに驚いてしまった。それは多
分、記録映像に挟まる再現ドラマという手法が納得できなか
ったもので、今回はそれが全編ドラマ化となったものだ。
ということで改めてドラマ化作品を観ると、これなら納得で
きるという感じだった。特に再現ドラマでは「そんなこと有
かよ!」と思っていた部分が、今回の作品の中にもあって、
それはもうその通りだったんだと思えたりもした。
そして最後に出てくる‘Forever’という言葉には、思わず
居ずまいを正してしまった。恐らくゼメキスの言いたかった
ことは、この一言に尽きるのではないかな。そんな思いもす
る作品だった。
公開は1月23日より、全国一斉の2D/3Dロードショウと
なる。

『ジョギング渡り鳥』
東京・渋谷にある映画専門学校・映画美学校が製作した上映
時間2時間37分の作品。
映画の初めの方に空飛ぶ円盤の不時着シーンがあって、そこ
から異星人らしき連中がぞろぞろ出てくるという展開。ただ
し彼らの姿は地球人には見えないらしく、そんな設定の中で
異星人による人間観察が開始される。
というお話で、最初はもっとSF的な展開を期待したが、制
作者にはあまりそういう意図はないらしく、ただ不可視の異
星人という設定を利用した人間ドラマが展開されるものだ。
さらにそれがジョギングという共通テーマの中で複数のドラ
マがアンサンブル的に描かれるものになっていた。
まあそのドラマの一部として異星人による「神」探しという
のはあるのだけれど、それが意味を持つほどには描かれてい
ない。結末は一応その方向で着いてはいるのだけれど…。全
体は普通の人間ドラマを錯綜させて描いた作品だ。
監督は、2013年10月紹介『楽隊のうさぎ』などの鈴木卓爾。
2011年5月に開校した映画美学校アクターズ・コースで講師
を務める監督が、その第1期生たちのキャスト&スタッフで
作り上げた作品ということだ。
鈴木監督には『楽隊のうさぎ』でも、1952年『ハーヴェイ』
のような展開を期待していたらはぐらかされたもので、結局
そういう資質なのだろう。ただ本当はファンタシーが好きな
のかもという感じもあって、その辺が歯痒いところだ。
それから、実は本作の映画製作のスタッフ欄に「脚本」がい
なくて、監督に「場面構成」という肩書と、「人物造形・台
詞」としてアクターズ・コース第1期生と記載されている。
つまり本作はほとんどアドリブで作られたもののようだ。
で、その良し悪しを問題にするつもりはないが、ただ本作の
ようなアンサンブル劇では、全体的なバランスなどを考える
とあまり効果的ではなかったのではないかな。そんな風には
感じられた。
なおよく似た傾向では、『ハッピーアワー』という作品が神
戸ワークショップシネマプロジェクトというところから発表
されていて、12月12日公開された上映時間5時間17分のその

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01月03日(日)
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