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On the Production
by 井口健二
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■初夏のパン祭り、ゴール・オブ・ザ・デッド、メトロ42
がスタジアムに到着すると、地元のサポータまでもが次々に
感染してしまう。
果たして主人公はその窮地を脱出できるか? そこに主人公
の家族の問題なども絡んで、人情とゾンビのドラマが展開さ
れる。
物語の背景にあるのは、初めの方で「32強を決める」という
台詞があったから、日本で言えば天皇杯のようなプロ・アマ
の国中のチームが参加するトーナメント戦なのだろう。そこ
でトップリーグと対戦は地元チームには楽しみのはずだが、
過去に経緯があると簡単ではない。
特に下部リーグで活躍した選手が上位リーグに引き抜かれる
のは、主力を奪われる側には大きな痛手だ。それでも普通は
選手の将来を思って笑顔で送り出すものだが、トラブルがあ
ると難しい。
そんなこんなが色々描かれている作品で、これは僕が普段か
らサッカーを応援しているからかもしれないけれど、そんな
細かいことに一々反応できることがファン冥利と言いたくな
る作品だった。
出演は、2009年6月紹介『96時間』ではスタントマンを務
めていたというアルバン・ルノワールと、主にテレビシリー
ズで活躍中のシャーリー・ブルノー。他に大学で演技を勉強
中というティファニ・ダヴィオ、若手コメディアンのアメッ
ド・シラらが脇を固めている。
監督は、「死霊のキック・オフ大乱闘編」という副題の前半
戦が、2009年に『ザ・ホード‐死霊の大群‐』という作品を
発表しているバンジャマン・ロシェ。「地獄の感染ドリブル
編」という副題の後半戦が、数多くのCMを手掛けていると
いうティエリー・ポワロー。
状況説明などに追われる前半戦は多少もたつき感があるが、
後半戦はアクションも含めて観られる作品になっていた。前
半戦と後半戦を同じ上映時間にするという決め事があったの
かもしれないが、少し考えてしまうところもあった。
でもまあサッカーファンなら、それなりに楽しめる作品には
なっている。特に事情が判っているとニヤリの作品だ。
公開は5月3日から、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で、全国順次上映となる。

『メトロ42』“Метро”
2012年8月紹介『リンカーン/秘密の書』などのティムール
・ベクマンベトフ監督を誕生させ、最近では2013年5月紹介
『オーガストウォーズ』なども生み出しているロシア映画界
が、ハリウッド映画のお家芸とも言えるパニック映画に挑戦
した作品。
主人公はは多忙な勤務医。そんな主人公は家庭サーヴィスも
ままならず、キャリアウーマンでもある妻は幼馴染のビジネ
スマンと不倫関係にある。しかし主人公はそれに気付いても
咎められないでいた。
そんな主人公が、その日は普段は車で送る娘の登校が妨害に
遭いやむなく娘と共に地下鉄に乗り込む。そしてその地下鉄
には、地上の渋滞を避けた不倫相手のビジネスマンも乗り込
んでいた。
一方、地下鉄の管理部ではベテランの職員が漏水に気付き、
その水の臭いから危険を感じるが、いつも酔っ払っている彼
の意見に耳を傾ける者はいなかった。そして満員の乗客を乗
せた地下鉄は走行を続けていたが…
主人公たちの乗った車両がモスクワ川の川底に差し掛かった
時、ついにトンネルが決壊し、濁流が路線に侵入してくる。
しかもモスクワの地下には冷戦時代に掘られた退避壕が縦横
に存在し、そのすべてに水没の危機が迫っていた。
主演は、今年はジュード・ロウとの共演作も控えているとい
うセルゲイ・プスケパリス。
その脇を、『オーガストウォーズ』にも出演のアナトーリー
・ベリィ、2012年2月紹介『裏切りのサーカス』COFCA賞を
受賞し、2013年『ウルヴァリン:SAMURAI』では敵役を演じ
ていたスヴェトラーナ・コドチェンコワらが固めている。
監督は、ドキュメンタリー出身でその作品では受賞歴もある
というアントン・メゲルディチェフによる劇映画は3作目の
ようだ。
主な舞台になるのはモスクワの地下鉄。路線網も広大で乗降
客も多く、ソ連時代に施された社会主義リアリズムの装飾で

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04月13日(日)
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