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On the Production
by 井口健二
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■her/世界でひとつの彼女、最近妹のようすがちょっとおかしいんだが、黒四角
出演は、2004年から3年間NHK教育『天才テレビくん』の
「てれび戦士」として活躍していた橋本甜歌と、2008年7月
紹介『シャカリキ!』などの小林ユウキチ(裕吉)。それに
グラビアアイドルで本作が映画デビューの繭。
監督は、2013年8月に紹介の映画『スクールガール・コンプ
レックス』の基になった写真集を手掛けた青山裕企。共同監
督と脚本に化粧品CMなどを数多く手掛ける伊基公袁。また
共同脚本に2010年5月紹介『結び目』などの港岳彦が参加し
ている。
主演の橋本と繭は、映画がR15+指定を受けるほどのかなり
体当たりの演技で、その辺の意気込みは買えるところだ。海
外の作品では驚く程でもないし、最近の若い女性は日本人も
あまり気にしないのかもしれないが、ここは褒めたい。
お話的にはプレス資料にも<自称幽霊>とあって、そこには
多少捻りがある。それはアイデアとしては現代風でもあって
面白く考えられているのだが、それが黄泉の国との関連性で
言うと多少破綻しているかな。
前半ではそのことをかなり言っている割には、後半でそれに
関わる説明は消滅して、一体何だったのだろうという感じに
もなった。辻褄の合う説明もできると思うが、それを上手く
映画の中で表現できなかった?
でもその点がこの物語の真のテーマのような感じもするし、
ここはもう少し丁寧に描いて欲しかった。まあ普通の観客は
そんなことは気にもしないのだろうけど、ちゃんと描ければ
それなりに面白いものになったとも思えたところだ。
脚本と監督にはもう少し頑張って欲しかったかな。
公開は5月17日から、東京は池袋シネマロサ他で全国ロード
ショウとなる。

『黒四角』“四角”
一昨年の東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、
映画祭では『黒い四角』の題名で上映された作品が一般公開
されることになり、改めて行われた試写を鑑賞した。
物語の背景は現代の中国。作品の制作に行き詰まりを感じて
いるらしい芸術家が、ふと見上げた空に悠然と飛行する黒い
四角を目撃し、その後を追った芸術家は荒野に着地した黒四
角の物体を発見する。そして芸術家が近寄って行くと…
突然そこから全裸の男が出現する。その男には記憶がなく、
芸術家は男を保護して同業者の集うコミュニティーで生活が
始まる。そこに新たな芸術発信基地を模索する芸術家たちの
動きなども絡み、さらに時空を超えた物語が展開する。
監督・脚本・編集は、1999年製作『タイムレス・メロディ』
で釜山国際映画祭のグランプリを獲得している奥原浩志。た
だし本作のプロデューサーは中国の李鋭で、撮影スタッフの
多くも中国人が務める中国映画だ。
出演は、2008年『海猿』や2009年中国映画『南京!南京!』
などに出演し、日中で活動する中泉英雄と、同じく中国映画
で活動する鈴木美妃。それにオーディションで抜擢された陳
璽旭と丹紅。
この作品は、2012年10月28日付「東京国際映画祭」でも紹介
したが、実はその時には物語の意味がはっきり把握できてい
なかった。それは毎日4、5本の映画を見続ける映画祭では
状況的に厳しい面もあったものだ。
ただし、映像的には『2001年宇宙の旅』や『地球に落ちてき
た男』を想起させるものもあって、心に引っ掛かるところは
あったが、全体的には印象が散漫でそのまま記憶の中に埋も
れてしまう可能性もあった。
そんな作品を再見することができたもので、今回はプレス資
料もあって作品の理解も進められた。因に映画祭では資料も
公式プログラム程度で、正直に言って映画の理解を深められ
るものではない。
ということで改めて作品に対峙したが、今回のプレス資料な
どで監督の意図したところは理解は出来た。とは言えそれが
作品に反映されているかというと、多少おぼつかない印象に
はなってしまう。
確かに日中関係が難しい時に、日本人の側からすればこのよ
うな過去の思いが存在することは事実かもしれない。しかし
それを言っても今の中国人にそれが通じるかどうかは、本作

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04月06日(日)
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