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On the Production
by 井口健二
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■アナと雪の女王、福島 六ケ所村 未来への伝言、マチェーテ・キルズ
認識だったと思う。そんなことでこの地名は僕の記憶の中に
も刻まれていた。
その六ケ所村に核施設が作られるようになるのは、1984年に
電気事業連合会が核燃料サイクル施設などの建設を要請した
のが始まりで、当然漁業・農業関係者や反核団体などによる
反対運動が巻き起こるが、翌年には県や六ケ所村も受け入れ
を表明してしまう。そして1986年チェルノブイリ。
島田恵はそんな六ケ所村を、1990年から2002年まで現地に在
住しながら撮影。その写真集「六ケ所村」には2001年第7回
平和・協同ジャーナリスト基金賞の奨励賞が贈られている。
その島田が、今回は映像ドキュメンタリーとして本作の撮影
を開始したのは2011年2月のことだった。
ところが3月11日に震災が発生。一時は制作を中断するが、
同時に起きた福島原発事故を見て、原発問題の「入り口」と
「出口」を描くことを目的として制作を再開。しかしここで
は「原発=入り口」と「核廃棄物集積場=出口」が描かれる
が、その提起する問題は同じだものだ。
その作品の中で島田は、福島県大熊町にローンで建てた当時
新築1ヶ月の家を持ちながら避難勧告で自宅を追われ、幼い
子供と共に東京に暮らす一家や、郡山に在住だが幼い子供を
抱えて今回は長野県に保養に来ている一家、そして郡山市で
有機農業を実践してきた農家などを描く。
その間には放射能が子供に与える影響のデータなども挿入さ
れ、郡山で行われている子供に対する甲状腺検査の模様や、
その一方で、農家はせっかく生産した米が検査結果は問題な
いものの、精密検査で発見された微量の放射能が販路をほと
んど無くしてしまう現実が描かれる。
特には超音波診断機を首に押し当てられ、検査の理由を理解
できない子供が泣きじゃくって抵抗する姿に、これが現実に
日本で行われていることだと理解することにも抵抗を覚え、
その現実を目の当たりにしていることには言い知れない衝撃
を受けるものだ。
その他、青森県に関しては反対派漁民の網にかかったタラか
ら福島由来と思われる放射能が検出され、陸揚げを禁じられ
て無言で投棄する姿に、無念さと虚しさを明白に感じること
ができる。これが今の日本人に明確に突きつけられている問
題だと言える。
公開は2月15日から、東京はオーディトリウム渋谷にてロー
ドショウ。都知事選挙投票日後の公開であることが残念だ。

『マチェーテ・キルズ』“Machete Kills”
ロバート・ロドリゲス監督ダニー・トレホ主演による2010年
公開作『マチェーテ』の続編。
前作はクエンティン・タランティーノとロドリゲスが、往年
の場末の映画館の雰囲気を再現しようとして企画した2007年
7月紹介『グラインド・ハウス』に添えられたフェイク予告
編に基づいて製作された作品。その前作の日本公開の際は試
写を観せてもらえず、僕はやむなく劇場で観たものだ。
その前作でトレホが演じたのは凄腕のメキシコ連邦捜査官。
しかし正義感ゆえに犯罪組織と衝突し、妻子を殺されて職を
去る。それから3年、彼は違法移民の日雇い労務者となって
テキサスにいた。そんな彼のスキルに注目した男が暗殺を依
頼。しかしそこには違法移民に絡む陰謀が潜んでいた。
これに移民を弾圧する上院議員や移民狩りの自警団、入国管
理局の女捜査官、移民のために戦う女革命戦士らが絡んで、
向かうところ敵なし不死身のマチェーテが獅子奮迅の大活躍
を繰り広げるというものだった。そしてその結末には本作の
タイトルが記されていたのだ。
そんな前作の続編だが、まず巻頭に“Machete Kills Again
in Space”という予告編が上映される。これは『グラインド
・ハウス』からの流れのものだ。
そして本編ではマチェーテにアメリカ大統領から直々に依頼
が届く。それはメキシコにいるイカレたボスを抹殺せよとい
うもの。そこでマチェーテはメキシコに潜入するが、その男
は多重人格者で、しかも心臓には鼓動が止まるとワシントン
に向けたミサイルが発射される仕掛けが施されていた。

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01月19日(日)
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