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On the Production
by 井口健二
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■魔女の宅急便、サンブンノイチ、愛の渦
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『魔女の宅急便』
スタジオ・ジブリのアニメーションでも知られる角野栄子の
名作ファンタシーを、『呪怨』シリーズの清水崇監督・脚本
(脚本は2009年7月紹介『サマーウォーズ』などの奥寺佐渡
子と共同)で実写映画化した作品。
物語は、普通のお父さんと魔女のお母さんの間に生まれて、
魔女の素質を引き継いだ少女キキが、13歳の誕生日を迎えた
日から始まる。魔女には13歳になると家を出て、魔女の居な
い町で1年間修行するという決まりがあるのだ。
その決まりに従ってキキは魔法のほうきに乗って故郷を出発
する。その旅には意思の通じ合える黒猫のジジも付いて来て
いた。そしてたどり着いたのはコリコという湊町。その町は
沢山の島の浮かぶ海に面していた。
そこでパン屋さんに間借りしたキキは早速、以前から考えて
いた魔法のほうきを使っての運び屋さんを開業する。それは
連絡船を待たなければ行けない島への荷物を迅速に運べると
いうものだったが…。お客はなかなか来なかった。
そんな環境の中で周囲とはちょっと違う1人の少女が、周囲
との軋轢なども経験しつつ徐々に成長し、自分がいる意味を
見つけて行く姿が描かれる。それは魔女に限らない普遍的な
物語として描かれる。
ジブリのアニメーション作品はかなりロマンティックなお話
で、その実写版を『呪怨』の清水監督が手掛けたということ
では、試写を観るまでは両方の意味で怖いもの見たさという
感じが付きまとった。でも心配は杞憂だったようだ。
作品はプロローグからファンタシーの香り一杯に展開され、
原作の第1巻、第2巻に基づくお話は冒険やほのかな恋も織
り交ぜて青春映画のように展開されて行く。そこには現代的
な要素もあって、巧みな脚本と言えるものだ。
しかも、ジブリ作品のような後半に唖然とするアクションを
持ってきたりもせず、原作に忠実にある意味素朴とも言える
佇まいの物語が展開されて行く。清水監督がここまで真摯な
物語を描けたということも驚きだった。
出演は、キキ役に500人のオーディションで選ばれたという
小芝風花。テレビドラマやCM出演はあるが映画は初とのこ
とで瑞々しい演技を見せている。因に原作者の角野は自分の
イメージに最も合っていると語ったそうだ。
他に、2008年2月紹介『あの空をおぼえている』などの広田
亮平、2012年9月紹介『大奥〜永遠〜』などの尾野真千子、
2009年6月紹介『童貞放浪記』などの山本浩司、2012年8月
紹介『莫逆家族』などの新井浩文、昨年11月紹介『赤々煉
恋』に出ていたという吉田羊。
さらにジャズヴォーカリストのYURI、浅野忠信、筒井道隆、
宮沢りえらが脇を固めている。
公開は3月1日から、全国一斉ロードショウとなる。
ジブリ作品みたいな派手なスペクタクルはないけれど、こち
らが本物だなと思わせる、そんな素敵なキキの世界が展開さ
れていた。

『サンブンノイチ』
お笑いコンビ「品川庄司」のボケ役でもある品川ヒロシ監督
による第3作。2009年7月紹介『悪夢のエレベーター』など
の木下半太原作に基づく作品で、品川監督は今回初めて他者
原作の脚色・映画化に挑戦している。
品川監督の2009年『ドロップ』と2011年『漫才ギャング』は
いずれも試写は観たが、紹介をサイトにアップしなかった。
それは両作共に暴力描写があまりに酷く、個人的な感覚とし
て紹介に耐えなかったものだ。
因に前の2作は、監督の自伝とされる原作小説を映画化した
ものだが、それは監督本人が格闘技マニアとかで、その個人
の趣味が高じた結果と理解された。その趣味に僕が付き合い
切れなかったというところだ。

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01月26日(日)
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