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On the Production
by 井口健二
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■バイロケーション、祖谷物語−おくのひと−、インシディアス第2章、幕末奇譚SHINSEN5−弐−風雲伊賀越え、魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
いたところを地元の若者に救出されるが、再び山に入って老
人と少女の住む家に辿り着く。そこで一宿一飯の恩を受けた
男は山間での農業を目指そうとするが…
その一方で、少女の同級生や村の若者たちは都会への憧れを
口にし、やがて1人ずつ村を離れて行く。そして村には環境
保護グループが反対したトンネルが開通し、そのトンネルを
通って都会の風が流れ込んでくる。
映画は、日本三奇橋の一つとされるかずら橋も劇中に何度か
登場し、神秘的な秘境の生活が描かれる。そしてその自然が
破壊されて行く状況が見事に描写され、特に物語の終盤に入
る直前ではその現実が鮮烈に描き出される。
ところがこの物語は、そこから突然ファンタシーになってし
まう。実は映画祭のプログラムブックではSFマークが付け
られていた作品で、紹介写真などでは半信半疑だったが、映
画を観てさらに唖然とした。
僕自身SF関係者として、この展開をどう取るべきかは悩む
ところだが、監督は鮮烈過ぎる場面がそれだけでは理解され
ないと考えたのか、あるいはあまりに哀しい現実がこれでは
遣る瀬無いと思ったのかもしれない。
実はこの作品は35mmフィルムで撮影され、上映もフィルム
で行われるとチェンジマークで上映時間が判断できる。その
計算だと、2時間49分の上映時間の内、ファンタシーになる
前までが2時間だったようだ。
つまり最後の49分が付け足しのように感じられるものだが、
これには例えば1924年の『最後の人』にハリウッドの意向で
ハッピーエンドが付け足され、その付け足しによってさらに
悲劇性が明確にされた。そんな風にも取れたものだ。
出演は、2010年12月紹介『KG カラテガール』などの武田
梨奈。武田の出演作は紹介作以降も何本か観ているが、空手
をしない彼女を見るのは初めてかもしれない。他に舞踊家の
田中泯、2012年9月紹介『BUNGO「見つめられる淑女たち」
/人妻』などの大西信満。
さらに2011年7月紹介『朱花の月』の監督河瀬直美、2008年
9月紹介『むずかしい恋』やテレビ『あまちゃん』で若き日
の黒川正宗を演じていた森岡龍。また地元の人たちも多数出
演しているようだ。
監督は、東京工芸大学で映画製作を学び、フィルムに拘った
映画作りで本作が2作目の蔦哲一郎。因に監督は、徳島池田
高校野球部を日本一に導いた蔦文也監督の孫だそうだ。
公開は来年2月15日から、東京は新宿K's cinemaにて予定さ
れている。
『インシディアス第2章』“Insidious: Chapter 2”
2011年6月紹介作品の続編。前作を手掛けたジェームズ・ワ
ン監督、リー・ワネル脚本のコンビが、今回も巧みな作品を
作り上げている。
物語には前作の一家が再び登場し、その後も続いていた脅威
との対決が描かれる。その伏線は前作にも巧みに設けられて
いたもので、その辺は前作を観ているといちいち納得ができ
るようになっている。
でも多分、本作だけでも説明はちゃんとされていたと思うか
ら、本作だけ観ても物語の経過などは理解できるのかな?
その辺は前作を観ている僕には判断できないが、僕もちゃん
とは覚えていない中で、成程と納得できたものだ。
そのお話は、前作では自ら霊の世界に飛び込んで息子を救い
出すヒーローだった父親が、今回は自身が悪霊に取り憑かれ
てしまうという展開。それが事件の全容を明らかにする道に
も繋がっているものだ。
そしてその全容を、前作にも登場した研究者たちが解明して
行くことになるが…。そこにもいろいろ仕掛けがあって、そ
れらも楽しめる作品になっていた。さらにもちろんショック
シーンも鮮烈に展開される。
出演は、全て前作の出演者の再登場で、パトリック・ウィル
スン、ローズ・バーン、タイ・シンプキンス、アンドリュー
・アスターと、祖母役のバーバラ・ハーシーが悪霊に取り憑
かれた一家を演じる。
また、研究者役のリン・シェイ、リー・ワネル、アンガス・
サムプスンも全て再登場する。その中に今年9月に紹介した
ジェームズ・ワン監督の『死霊館』にも出演のスティーヴ・
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11月24日(日)
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