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On the Production
by 井口健二
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■僕が星になるまえに、武器人間、ウォーキング・デッド:シーズン3、ハンナ・アーレント、燦燦
と迷路のような地下道、さらに巨大な研究施設を発見する。
そこには全身に電気コードの繋がれた遺体が…
原題を見ればこれが何かは判ってしまうが、この修道院には
フランケンシュタイン博士の末裔がいて、そこで最強の武器
となる人造人間が製造されていたというお話。
しかもこの人造人間が、通常のこめかみにボルトの付いた怪
人だけでなく、さらにいろいろな用途向けの改造が施された
ものなど様々なクリーチャーで登場する。
それはまあそのクリーチャーのヴァリエーションだけでも楽
しめるものだし、その辺はCM出身らしいサーヴィス精神も
旺盛な作品になっていた。
ただ一言苦言を呈すると、ソ連軍が撮影したfound footage
という設定なのに登場するソ連兵のセリフは英語。相手のド
イツ軍はドイツ語を話していたようだが、これではなんとも
中途半端だ。
大体この物語でfound footageの設定にする必要があったか
否かも疑問で、物語はそれなりにしっかりしていたし、特に
found footage設定に向けた展開があるものでもなく、単に
流行に迎合する姿勢はあまり褒めれらない感じがした。
出演は、ソ連兵役で新人のジョシュア・ザッゼ、部隊のリー
ダー役にイギリスのテレビで活躍のロバート・グウィリムが
扮する他、フランケンシュタイン博士の孫役には2009年9月
紹介『エスター』にも出ていたというチェコの名優カレル・
ローデン。
さらに、2008年1月『ライラの冒険・黄金の羅針盤』などの
アレクサンダー・マーキュリー、今年1月紹介『アンナ・カ
レーニナ』などのルーク・ニューベリー、6月紹介『ワイル
ド・スピード/ユーロ・ミッション』などのアンドレイ・ザ
ヤッツらが脇を固めている。
本作は先に開催された「米子映画事変」という映画祭でも上
映されたようだが、一般公開は11月2日から、東京はシネク
イント他にてレイトショウが予定されている。

『ウォーキング・デッド:シーズン3』
            “The Walking Dead: Season 3”
2011年12月にシーズン1(全7話)、昨年6月にシーズン2
(全13話)を紹介した脚本家フランク・ダラボン企画による
テレビシリーズの第3シーズン(全16話)。
第2シーズンを過ごした農園を新たな仲間も加えて脱出した
主人公たちは、流浪の旅の中でフェンスに囲まれた刑務所を
発見する。そこはゾンビたちの襲撃から身を守るには絶好の
場所だった。
そこで侵入していたゾンビたちを排除し、新たな生活を始め
ようとした主人公たちだったが、そこにはゾンビ化せずに生
き延びていた囚人たちも暮らしていた。しかし元警官である
主人公に彼らを受け入れる気持ちはなかった。
こうして住む場所を分けての生活を始めた主人公たちだった
が、実はその近くには元々町のボスだった男が支配する集落
が存在していた。そのボスは兵士となる男女に潤沢な銃器を
与え、街の防御を固めてその中で暮らしていた。
そして住民たちには民主的と思わせる施政を行っていたが、
その実態はある目的を隠した独裁的な組織だった。そのボス
が主人公らのグループに目を付ける。しかし協力を拒否した
主人公らと対立し、一触即発の状況となる。
ゾンビが徘徊する終末世界の中で、何も人間同士が対立しな
くても…とも思うが、結局こんなところが人間の本性なのだ
ろう。第1シーズンの紹介のときにも書いたが、本作に登場
するゾンビはあくまでシチュエーションであって、そこで繰
り広げられる人間ドラマが主題の作品だ。
そしてそのシーズン3では意外な人物の再登場などもあり、
シーズン1から観続けてきた視聴者には存分に楽しめる展開
になっている。特にその後の状況が偲ばれる展開は、設定の
巧さが際立つものだ。
その一方で本シリーズは、主人公らには銃弾に限りがあるこ
とから、できるだけ銃器を使わないことが制約され、それは
ある種のアメリカ銃社会へのアンチテーゼのようにも見える
ものになっている。
それで前シリーズまでは主に斧や西洋弓などが活躍していた

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09月29日(日)
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