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On the Production
by 井口健二
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■パーシー・ジャクソン/魔の海、REDリターンズ、りんごのうかの少女、死霊館、Tightrope−アウトサイダーという生き方−、落秋
フランクだったが、その目の前でマーヴィンの乗ったSUV
車が爆発。葬儀に参列したフランクはFBIに連行され、過
去に遂行した任務について尋問される。しかもそこにCIA
の特殊部隊が突入し…。
こうしてフランクは核兵器を強奪したテロ犯として各国情報
部から指名手配され、やむなく彼は旧ソ連を舞台に計画され
て未遂に終ったとされる作戦と向き合うことになる。しかし
その計画は未遂ではなく、しかも生き残った計画は世界情勢
に強大な破壊力を秘めていた。
果たしてフランクは過去の作戦を清算し、世界の存亡の危機
を回避できるのか? そこにMI6やKGBも絡んで、世界
を股に架けた殺るか殺られるかの大冒険が開始される。
共演は、前作に続いてのメアリー=ルイーズ・パーカー、ブ
ライアン・コックス。他にキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、
イ・ビョンホン、ニール・マアクドノー、デイヴィッド・シ
ューリス、そしてアンソニー・ホプキンスらが脇を固めてい
る。
脚本は、前作の後には2012年4月紹介『バトルシップ』も担
当したエリック&ジョン・ハーバー。監督は、1999年に公開
されたSFパロディの傑作『ギャラクシー・クエスト』や、
2005年12月紹介『ディック&ジェーン/復讐は最高!』など
のディーン・パリソットが担当した。
物語は痛快で面白い。でも結末はこれで良いのかな。少し前
にも同じような結末の作品があったが、このやり方で核兵器
を始末するのはヤバイと思うのだが…。やはりアメリカ人は
核兵器の本当の恐ろしさを判っていないのだろう。
なおデータベースによると、脚本家は“Red 3”の計画も進
めているようだ。

『りんごのうかの少女』
9月25日からロンドンで開催のレインダンス映画祭において
特集上映が行われる横浜聡子監督による42分の作品。
主人公は題名の通りのりんご農家の1人娘。中学生の彼女は
口煩い母親に反発して家出を敢行。仲間と遊び歩いている。
そんな少女が家出の軍資金が乏しくなって帰宅すると、優し
かった父親の葬儀が行われており、誕生日プレゼントの馬が
つながれていた。
この両親を、1989年ジム・ジャームッシュ監督『ミステリー
・トレイン』以来の共演という工藤夕貴と永瀬正敏が友情出
演で演じ、1人娘役には地元アイドル「りんご娘」のときが
扮している。
元々は青森県弘前市が町のPRを兼ねた映像作品を企画し、
それを青森県出身の横浜監督に依頼したとのこと。因に地元
アイドルの主演は市側の依頼の条件だったようだ。そんな素
人が主演の作品だが、演出の上手さなのか見事に瑞々しく演
じられていた。
ただし試写会の挨拶で監督は、「青森市の出身なので弘前市
のことはあまり知らなかった。それにりんごは好きな果物で
はなかった」のだそうだ。
という作品だが、映画の出来は予想した以上に見事だった。
話自体は思春期の少女が親に反発し、悪い仲間に入って親へ
の復讐を試みたりと、それはまあ有り勝ちなものなのだが、
その演出が巧みというか個々の人物の心情などが見事に描か
れている。
それは自分が子を持つ親として納得できるものだったし、恐
らく自分が子供の頃にはそう考えていたはずだと思えるもの
にもなっていた。その辺がストレートに観客の胸にも響いて
くる作品だった。
もちろんそれは上映時間も42分の作品だから、回りくどく描
くこともできないものだが、物事を深く掘り下げなくてもス
トレートに理解できる。そんなところが短編を得意とする監
督の魅力なのだろうし、本作でもそれは成功している。
特に全編に張り詰めたような緊迫感が漂うのは、演出の巧み
さ以外の何物でもないし、そんな緊迫感が心地よく感じられ
る作品でもあった。
公開は、青森県の地元ではすでに先行で行われたようだが、
全国は12月7日から東京・渋谷ユーロスペースのほか順次で
上映されることになっている。東京での初日には舞台挨拶や
トークイヴェントも予定されているようだ。

『死霊館』“The Conjuring”

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09月15日(日)
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