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On the Production
by 井口健二
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■劇場版BAD BOYS、ミッドナイト・ガイズ、42−世界を変えた男−
ク・スワン』に出ていたマーク・マーゴリスらが脇を固めて
いる。
監督は、1986年『ショート・サーキット』とその続編の88年
『がんばれジョニー5』では主役も務めていた俳優でもある
フィッシャー・スティーヴンス。
最近では2009年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を
受賞した『ザ・コーヴ』の製作者として授賞式の壇上にも上
がっていたが、そのスティーヴンスの長編映画監督としては
第2作のようだ。
もっとも本作では出演者が上記の顔ぶれで、この受賞トリオ
を前に彼が一体どのような演出をしたのか、機会があったら
聞いてみたいところだ。因にこの後には、フィリップ・ロス
原作の映画化が予定されているそうだ。
上記の日本映画に続けてちょっと変格のギャング映画という
感じだが、ここまで老練の演技を魅せられると若いアイドル
映画は霞んでしまうのも仕方がない。そんな気分にさせられ
る作品だった。
なお本作の音楽と主題歌を、ジョン・ボン・ジョビが手掛け
ている。

『42−世界を変えた男−』“42”
毎年4月15日にはアメリカ大リーグの全選手が同じ「42」の
背番号をつけてプレーする。大リーグ全球団の永久欠番とさ
れるその背番号の主ジャッキー・ロビンスンを描いた作品。
1945年の第2次世界大戦終結によりアメリカでは戦場で共に
戦った有色人種の平等を求める機運が高まる。それに対して
大リーグも有色人種に門戸を開くことを決めるが、現実は大
リーグに所属する400人の選手は全て白人。黒人選手は彼ら
のリーグでプレーするしかなかった。
そんな現状の打破を考えたのが、ブルックリン・ドジャース
球団社長のブランチ・リッキー。彼は黒人アスリートの時代
が来ることを予感し、史上初の黒人大リーガーの誕生を画策
する。そして見出したのが、UCLAでは白人と共にプレー
したこともあるジャッキー・ロビンスンだった。
しかし1945年に契約し、まず傘下の3A球団でプレーさせ、
そこから2年掛けて大リーグに昇格させるまでの道のりは、
特に人種差別の根強い南部チームからの嫌がらせや球団内部
の反発など、並大抵のものではなかった。
それでもロビンスンは球団社長との約束の下、妻や黒人であ
るために記者席に入れない黒人レポーターらの支援を受け、
辛抱に辛抱を重ねて道を歩んで行く。そしてその姿にチーム
メイトや相手選手からも賞賛を得て行くことになる。
大リーグファンにとってロビンスンの名前はその業績から知
らぬ者はないと言われる。しかし実際に彼が受けた迫害や、
それに対して彼自身や球団、同僚選手らが取った行動に関し
ては、もはや歴史の中に埋もれているものも多いそうだ。
またロビンスンは、選手として大成後も基金の設立など多く
の業績を残している。しかし本作はそんなロビンスンの業績
を全て見せるものではない。1945−47年の正に歴史が動いた
瞬間に焦点を絞り、それを見事に再現してみせた作品だ。
出演は、2008年のデビュー作ではフットボールの名選手を演
じたというチャドウィック・ボーズマンと、球団社長役には
ハリスン・フォード。昨年12月紹介『SHAME-シェイム-』な
どのニコル・ベーハリー、舞台俳優のアンドレ・ホランド、
2010年4月紹介『レギオン』などのルーカス・ブラックらが
脇を固めている。
脚本と監督は、2003年12月紹介『悪霊喰』などのブライアン
・ヘルゲランド。1998年『L.A.コンフィデンシャル』の脚本
でオスカー受賞の脚本家が今回も見事な物語を紡いでいる。

09月04日(水)
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