ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459988hit]

■ゲキ×シネ:シレンとラギ、アルカナ、サカサマのパテマ、サプライズ
アル銀河帝国』の土屋太鳳。土屋は前作ではまだ子役だった
が、本作ではヒロイン役だ。
他に谷村美月、岸谷五朗。さらに今年の舞台「ミュージカル
黒執事」などの植原卓也、2010年3月紹介『さんかく』など
の谷口一、1999年『救急戦隊ゴーゴーファイブ』などの谷口
賢志、ベテラン俳優の野口雅弘らが脇を固めている。
また、中国武術やテコンドー、空手などが特技という若手俳
優Kaitoのスクリーンデビュー作にもなっているようだ。脚
本は、監督と2001年『火星のカノン』などの及川章太郎が共
同で担当。
『シックス・センス』や何やかやがごった煮の感じの作品だ
が、監督が三池監督の助監督だった人の作品らしく、中には
アクションもあるし、そこにある程度のスプラッターも入れ
て、それらはエンターテインメントとして楽しめる。
ただ、監督もデビュー作というところで低予算ではあるし、
それなりの作品という感じかな。でもまあ、雰囲気の演出な
どはそれなりに出来ていたし、この調子でやってもらえれば
今後の作品にも期待は持てる感じがした。
なお、本作に関連してKaitoが演じる分身みちるの前日譚を
描くスピンオフ作品が、先にCS/BSで紹介されている。
ただし3Dで製作されているその作品には、本作の主演の中
河内雅貴と土屋太鳳は出ていないようだ。

『サカサマのパテマ』
2008−09年に発表された『イヴの時間』という作品で、東京
アニメフェア2010にてOVA部門優秀賞を受賞している吉浦
康裕監督の最新アニメーション作品。
今年6月紹介『アップサイドダウン/重力の恋人』に続く、
2重の重力方向を持つ世界を描いた作品。どちらが先に発想
されたかは不明だが、見事に内容は競合したものだ。
その世界では以前に大きな災害が起き、地上の一部の重力が
突然反転して巨大なビル群が空に向かって「落下」したとい
う。それから何世代もが経った時代のお話。
主人公は迷宮のような地下世界に暮らす少女。彼女は先代長
の娘らしいが、長老たちが止めるのも聞かず、今日も禁断地
区で冒険を続けている。彼女の憧れは、そんな禁断地区から
別世界に行ったという冒険家の男性だ。
そして彼女は、禁断地区の上下に連なる巨大な孔から新たな
冒険の途へと足を踏み出す。その彼女が辿り着いたのは足元
に青空の広がる世界。しかもそのままでは空に向かって落下
する彼女を助けたのは、その世界に住む少年だった。
こうして異なる重力方向を持つそれぞれの世界に暮らす少年
と少女が出会い、2人の驚くべき冒険が始まる。しかもそこ
には2つの世界の成因に関る大きな謎が隠されていた。
6月の作品では、映画の始まりで舞台となる世界の細かな説
明があったが、本作ではその点は無視。巻頭で空に向かって
「落下」して行くビル群が描かれ、取り敢えずそういう世界
だということで物語は進められて行く。
でもまあそれが何となく説得力があったものだ。ただし映画
を観ている間はいろいろと疑問も生じていたのだが。実は試
写の前に封印されたチラシを渡されて、試写後にそれを開い
てみて疑問は氷解。実に巧みに構築されていた。
それは実に見事な世界の設定で、6月の紹介ではいろいろ疑
義も唱えたが、本作ではそういう点も生じない。ただ、出来
ればそれを映画の中だけで理解できるようにして欲しかった
かな。でもそれはない物ねだりになりそうだ。
声優は、『スマイルプリキュア』などの藤井ゆきよ、『青の
祓魔士』などの岡本信彦。他に大畑伸太郎、ふくまつ進紗、
加藤将之、土師孝也らが脇を固めている。
物語は吉浦監督が原作と脚本も手掛けたもので、宮崎アニメ
にも通じる大空への憧れも感じさせる作品。これが将来的に
戦闘機などに向かないことを願いたいものだ。
なお音楽を『鋼の錬金術師』などの大島ミチルが担当してい
るが、ロシア人の歌手による主題歌の歌詞はエスペラント語
で歌われていたようだ。

『サプライズ』“You're Next”
7月に公開されたホラーオムニバス『V/H/Sシンドローム』

[5]続きを読む

08月30日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る