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On the Production
by 井口健二
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■シャンボンの背中、Miss ZOMBIE、あの日見た花…、ある愛へと続く旅、009-1、スクールガール…、ランナウェイ、許されざる者
仕上げられている。モノクロのゾンビ映画も、1968年『ナイ
ト・オブ・ザ・リビングデッド』を思い出させるが、ゾンビ
はゆらゆらと動くタイプで、その辺も納得できた。
しかもそのゾンビが走り出すシーンもあるのだが、それも物
語の展開で、納得はしないが監督の意図は判る感じのものに
なっていた。これが一般の映画ファンに受け入れられるかど
うかは判らないが、僕には了解の作品だ。
出演は、2006年12月紹介『僕は妹に恋をする』などの小松彩
夏、1998年『犬、走る』などの富樫真、『蟹工船』にも出演
の手塚とおる。
7月紹介『ワールド・ウォーZ』も公開されて、ゾンビ映画
も大作が登場するようになってきたが、昔ながらのモノクロ
映像でゾンビを観せられると、多分自分はこんなのが好きな
んだろうと思わされる。
SABU監督もそんな気持ちで作っている作品なのかもしれ
ない。そんな中では共感する部分も多い作品だった。ただし
ゾンビの感染が噛み付きというのは理解するが、それが首筋
となるとヴァンパイアのイメージも強くなるもので…
でもまあ、日本の若手監督が訳も判らず物真似で作る作品よ
りは、ずっとしっかりした正統派のゾンビ映画で、その辺は
納得して観られた作品だ。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』
フジテレ系の深夜番組「ノイタミナ」で2011年4−6月放送
された作品の劇場版。
オリジナルは視聴していなかったので、取り敢えず今回は概
要を読んでから鑑賞した。その物語は、幼馴染の1人が亡く
なっていて、以降何となく疎遠になっている男女のグループ
を中心にしたもの。
それから何年か後、亡くなった女の子の幽霊が主人公の前に
現れる。その姿はグループの他のメムバーには見えていない
が、それでも彼らは主人公を信じ、彼女の残した思いを実現
して、彼女を成仏させようと考える。
1999年の『シックス・センス』と、1990年の『ゴースト』を
併せたようなお話で、ご丁寧に幽霊が現世に及ぼすことの出
来る僅かな力でメッセージを残すというエピソードまで描か
れている。
とは言うものの映画の中ではその説明は全くと言って良いほ
どされなくて、僕は概要を頭に入れて、なお且つ以前の映画
の知識もあるから理解できたが、全くの白紙で観たらどうな
のだろうかとも考えてしまった。
ただしそれはオリジナルを観ていれば自明のものなのだろう
し、試写会場はかなりの涙に溢れていたそうだから、取り敢
えずオリジナルの視聴者をターゲットにした作品ということ
なのだろう。
因にオリジナルはかなりの高視聴率だったそうだから、これ
で充分なのだろう。でもまあ、仲間が主人公を信じる経緯や
幽霊が力を振り絞ってメッセージを書くシーンなどは、もう
少し何か説明があってもよかったと思うのだが…
監督は、2006年『ハチミツとクローバーU』などを手掛け、
本作オリジナルで芸術選奨新人賞受賞の長井龍雪。脚本は、
2008年『黒執事』などの岡田麿里。キャラクターデザインは
2006年『エウレカセブン』などの田中将賀。因に3人は共に
1976年生まれだそうだ。
試写会後に宣伝担当者と話したら、オリジナルを観ていない
人でも泣いている人はいたそうで、それは確かにそういう演
出は巧みになされていた。それは認めてよい作品だ。ただ僕
自身は泣くには至らなかったが…。
実はその前に、僕は登場人物の女性の1人のニックネームに
引っ掛かってしまったもので、試写後にプレス資料からその
女性の本名が安藤鳴子でその略称と知ったのだが、映画の始
めの方でこのニックネームが呼ばれたときには耳を疑った。
宣伝担当者の女性もこれには困惑していたようだ。

『ある愛へと続く旅』“Venuto al mondo”
2004年9月紹介『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリット
が、再び妻マルガレート・マッツァンティーニの原作を共同
で脚色、ペネロペ・クルスの主演で映画化した作品。1980年
代と90年代、それに現在のサラエボを背景に深い愛情の物語
が展開される。

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08月10日(土)
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