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On the Production
by 井口健二
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■サバイビング・P、カレ・ブラン、探偵ヨンゴン、ノー・ワン・リヴズ、ジャーニー、タイガー、アニメミライ2013、オズはじまりの戦い
繰り返しアナウンスされている。
そんな典型的なデストピアの社会が、個々にはいろいろなエ
ピソードもあるが、全体的には淡々と描かれている。ただし
暴力表現はそれなりに激しくて、それが1回目の観客をどん
よりさせる原因だったかとも思えるが、引用された『時計じ
かけのオレンジ』を初めて観た時の衝撃に比べると、多少の
エスカレートはあっても衝撃は薄らぐものだ。
ただし、『時計じかけのオレンジ』が社会や体制に対する批
判と取れたのに対して、本作の批判の矛先は個人に向けられ
ているようで、そこには『時計じかけのオレンジ』の映画化
が公開された1971年当時と現代との、人間関係の変化などが
反映されている感じもした。その点では暗澹とした気分にも
なったものだ。
出演は、2007年3月紹介『ストーン・カウンシル』に出てい
たというサミ・ブアジラと、2009年10月17日付「東京国際映
画祭」で紹介の『エイト・タイムズ・アップ』(公開題名:
七転び八起き)で映画祭の最優秀女優賞を受賞したジュリー
・ガイエ。
脚本と監督はCM出身で本作が長編デビューとなるジャン=
バティスト・レオネッティ。因に監督は、本作を「SF映画
ではなく、ラヴ・ストーリー」と称しているようだ。

『探偵ヨンゴン/義手の銃を持つ男』“영건 인더 타임”
2011年10月紹介『エイリアン・ビキニの侵略』オ・ヨンドゥ
監督の新作。前作は多分にアマチュアの感覚だったが、本作
ではそれなりに商業映画の雰囲気になっている。それに監督
はかなりのSFファンのようだ。
物語の始まりは博物館の館内。そこで1人の考古学者が暴漢
に襲われる。そして物語の舞台はとある街中の探偵事務所に
移動。その事務所の看板には「どんな些細な仕事も最善を尽
くします」とあるが、仕事は少なく探偵は借金で首が回らな
いようだ。
そんな探偵事務所にフードで顔を隠した女性が現れる。その
女性は「ある男を殺して欲しい」と依頼するが、もちろん殺
人などは受けられるはずがない。しかし断られて出て行く姿
に何かを感じた探偵はその後を追いかけるが、その目の前で
女性は拉致され、しかもその死まで目撃してしまう。
そんな罪悪感から探偵は女性が依頼した案件の裏を探り始め
るのだが、調査によって辿りついた博物館で探偵は、死んだ
はずの女性本人に出会ってしまう。その裏には考古学者が発
見したあるものが介在しているというのだが…。そこには、
それを狙う悪の組織も暗躍していた。
テーマ的には、2012年10月紹介『LOOPER』に通ずるところが
あって、それがちょっと似たような展開になるところも面白
いものだ。もちろん製作時期などから考えてアイデアは全く
別個に生まれたものであることは明らかだが…。ハリウッド
映画より本作の方が正統派なのも気に入った。
因に製作者の欄に林海象監督の名前があるが、これはオ監督
が2011年の「ゆうばり」で来日した際に、林監督から「探偵
映画なら資金を出す」と言われたとのこと。そのため本作の
探偵が着るジャケットの胸には「5」と書かれており、彼は
2005年9月紹介『探偵事務所5』の一員なのだそうだ。
出演は、監督のデビュー作からの3作と他に2012年8月紹介
『高地戦』にも出ていたというホン・ヨングンと、3月紹介
『ミッドナイトFM』に出ていたというチェ・ソンヒョン。
他に監督の前作に出ていたハ・ウンジョン、ペ・ヨングンら
が脇を固めている。
韓国映画で探偵ものは珍しいのだそうで、そのせいか出だし
が多少もたもたしている感じがした。まあその感じは後半は
解消されるが、ただ題名にもなっている義手の話が作品の中
でほとんど語られず、その機能もあまり有効には使われてい
なかった。その辺で続編もあると思えたものだ。

『ノー・ワン・リヴズ』“No One Lives”
2002年3月紹介『Versus』や、2003年11月5日付「東京国際
映画祭」で紹介『スカイハイ劇場版』などの北村龍平監督に
よるハリウッド進出第2弾。

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02月28日(木)
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