ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460044hit]

■ユダ、みなさん…、明日の空の…、レッド・ライト、ナイトピープル、ハンガリアン・ラプソディ、塀の中のJC、二つの祖国で+Star Wars
現実が待ち構える。それは観客にも厳しいものになってしま
う恐れがあるのだが…。
この作品の結末には、世代宇宙船が目的の星に到着したよう
な、そんな清々しさも描かれていた。本作は、ファンタシー
でも、ましてやSFでもないけれど、何処かにセンス・オブ
・ワンダーの感じられる。そんな作品だった。
原作者はファンタジー大賞の受賞者だし、監督も2010年6月
紹介『ちょんまげぷりん』のような作品のある人だから、こ
の感じは強ち間違いではないかもしれない。監督には次回作
も期待したいものだ。

『明日の空の向こうに』“Jutro bedzie lepiej”
昨年2月紹介『木漏れ日の家で』のドロタ・ケンジェジャフ
スカ監督による最新作。
時代は現代。主人公は、ポーランドと国境で接するロシアの
町に暮らす兄弟ともう1人の計3人の浮浪児たち。
その1人がポーランド側へ国境を越えるルートを手に入れ、
3人はそこに向かう旅を開始する。しかし幼い弟はよく事情
が判らないのか、何かと足手纏いだ。それでも3人は何とか
旅を続けて行くが…。
映画には携帯電話も登場して、明らかに現代を背景にしたも
のだが、映し出されるのは冷戦時代を思わせるような風景と
物語。監督はポーランドの人だが、これが近くで見ているロ
シアの現状ということなのだろうか。
そんなちょっとクラシカルとも言える雰囲気の中で、挫折も
あるけど屈託のない子供たちの、それでも何処か未来に希望
を抱かせるような。そんな物語が展開されて行く。
出演は、入念なオーディションの末に選ばれたという10歳と
6歳のエウゲヌイ&オレグ・ルィバという実の兄弟と、11歳
のアフメド・サウダロフ。いずれも演技に関しては素人との
ことだ。
そんな子供たちから女性監督が見事な演技を引き出している
ものだが。特にオレグの自然な笑顔は、僕らの世代の映画フ
ァンには1952年『禁じられた遊び』のポーレットことブリジ
ット・フォッセーの姿を思い出させ、名画を感じさせた。
その他、ロシア、ポーランド国境地帯の見た目は寂しいけど
豊かな自然や、そこに残された途中で廃線になっている鉄道
などの歴史的な遺物が、素晴らしいカメラワークで子供たち
と共に映し出されている作品でもある。
なお映画の中には、「亡命」という一言を言えば事態が進む
のに、子供たちがそれをなかなか言わないもどかしいシーン
があるのだが、日本では元々子供だけの亡命が認められてい
ないはず。それが不法滞在者も増やしているものだ。
しかし世界にはこのような境遇の子供たちも多数存在してい
るもの。このシーンにはポーランド政府の冷たさ以上に日本
政府の冷たさも考えさせられてしまう作品だった。それ以上
に子供の愛らしさも一杯に描かれた作品だが。
世界にはまだまだ僕らの知らないことがある。そんなことも
感じさせる作品だった。

『レッド・ライト』“Red Lights”
自ら特別な能力を持つと称して様々なテクニックで大衆を欺
き、それにより富を得ているインチキ超能力者。そんな「超
能力者」に気鋭の物理学者が挑むサスペンス作品。
主人公は大学で物理学を教える女性教授。その一方で彼女は
ポルターガイスト現象などの超常現象を科学者の見地で解明
し、そのインチキな姿を暴き続けていた。
そんな彼女の前に、30年前に対決し彼女自身が弱みを掴まれ
て敗退せざるを得なかった伝説の超能力者の復活が知らされ
る。それは彼女が途中で調査を打ち切らざるを得なくなる、
そんな苦い経験を持つ相手だった。
そして、彼女の地元のコンサートホールで開かれるショウを
前にテレビ討論に招かれた彼女は、「超能力者」の関係者に
よって心理の隙を突かれ、番組はショウの宣伝でしかないも
のになってしまう。
そして彼女は、博士号も持つ助手に対して、その超能力者と
の関りを頑なに禁じるのだが…。そんな彼女の姿に歯がゆさ
を感じる助手と好奇心旺盛な女子学生は、同じ大学の超能力
研究室で行われた実験のレポートを検証して行く。
そして彼らが見出した真実とは。

[5]続きを読む

11月11日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る