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On the Production
by 井口健二
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■もうひとりのシェイクスピア、マリーゴールド・ホテル、009、フリーランサー、みせものやさん、阿賀に生きる、96時間リベンジ、PA4
あったのはまだ改装中の古びたホテル。そこはインド人の若
者が父親から引き継いだもので、そこで彼は父が夢見たホテ
ルを実現しようとしていたのだ。だがその経営は資金難で、
新たな出資者も見つからず、正に風前の灯だった。
物語は予想通り、母国では夢もなく老いを迎えるだけだった
男女が、自らは資質と思わなかった経験を活かして、新たな
国で新たな人生を開幕させる…というもの。それはまあかな
り夢物語ではあるけれど、そんなお話が活気溢れるインドの
風景の中で、嫌味なく語られているものだ。
出演は、デームの称号を持つジュディ・ディンチとマギー・
スミス。さらにビル・ナイ、トム・ウィルキンスン、2003年
11月5日付「東京国際映画祭」で紹介『カレンダー・ガール
ズ』などのペネロープ・ウィルトンとセリア・イムリー。そ
して舞台俳優のロナルド・ピックアップ。
また『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテルがホテル
の若き経営者役で出演している。
『009 RE:CYBORG』
1964年に雑誌連載が開始され、アニメーション作品でも人気
を博した「サイボーグ009」を、フルCGIによる3Dで
映像化した作品。なお原作は、1998年の作者石ノ森章太郎の
死去によって未完に終っているが、本作は作者の残した構想
に基づく完結編として描かれている。
物語の舞台は2013年。六本木ヒルズのマンションに暮らす高
校生の島村ジョーは、世界各国で頻発する高層ビル爆破テロ
事件の報道に「先を越された」と呟く。そして手製の爆弾を
抱えてタワービルに向かったジョーは、セキュリティも掻い
潜って展望台に赴くが…
そのビルに向かって米軍機からミサイルが発射され、その混
乱の中でジョーは自分の出自を思い出す。かくしてギルモア
博士の研究所に参集した00ナンバーのサイボーグたちは、
「彼の声」と呼ばれる新たな敵と戦うことになる。それは人
類の未来に関わる戦いだった。
本作の物語では、9・11の事件以降、サイボーグたちは任を
解かれ、各自の祖国に帰って一般生活に戻っていたようだ。
しかし島村ジョーだけは記憶を消され、さらに3年ごとに記
憶をリセットされて高校生活を繰り返していた。そんなジョ
ーの記憶が戻ることから物語は始まる。
そして物語は、アメリカ国防総省やイスタンブールのギルモ
ア研究所、ドバイの高層ビル街などに広がり、さらに海底か
ら成層圏の亜宇宙空間まで、正に全地球規模での戦いが描か
れて行くものだ。
脚本と監督は、2009年『東のエデン』などの神山健治。先の
作品は第1部だけしか試写が観られず、そのため当ページで
は紹介できなかった。しかし第1部の印象は、かなり壮大な
物語だったと記憶している。
そんな監督が脚本から手掛けた本作は、テーマの壮大さなど
は申し分がなく、そのため多少重くなる部分はあるが、バト
ルシーンのスピード感あふれる演出などは、正しく劇場で堪
能したくなる映像で描かれていた。
そして本作では、フルCGIだがセルルックの3Dアニメー
ションという、ちょっと変わった挑戦も行われており、セル
アニメーションの3D化は『ライオンキング』でも完璧では
なかったが、今回は成功と言えるものになっていた。
日本のアニメファンは、基本的にセルアニメファンと言える
ので、これは今後に期待が持てそうだ。その他にも、ジョー
と002、003との関係や、006こと張々湖のその後な
ど、昔のファンが楽しめる仕掛けも施されている。
ところで本作の公開に当っては、全国の人気ラーメン店9店
舗が9人のサイボーグをイメージした商品を開発するという
コラボ企画も行われ、10月17日から各店で提供が行われてい
る。
僕は、その発表記者会見で光麺提供の006張々湖をイメー
ジしたつけ麺を試食させてもらったが、トッピングの肉や野
菜のバランスも良く美味だった。
この商品は、宅麺.comという通販サイトで、「中華大餐館・
張々湖」の商品として販売されるとのこと。その他の店舗の
情報も同サイトで紹介されているので、興味があったらご覧
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10月21日(日)
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