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On the Production
by 井口健二
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■裏切りの戦場、北のカナリア、合衆国最後の日、僕の中のオトコの娘、カリフォルニア・ドールズ、拝啓愛してます、LOOPER、ゲットバック
森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮浮おい、小池栄子、松
田龍平が演じている。共演は、柴田恭兵、仲村トオル、里見
浩太朗。他に石橋蓮司、菅田俊、藤谷文子、塩見三省らが脇
を固める。
『告白』の映画版を見たときにも「物語を作りすぎだなあ」
と感じたが、本作も同じようなもの。しかしそんな作りすぎ
のドラマもたまには良いものだ。
それに本作では、子供たちのコーラスが巧みに織り込まれ、
それが抜群の効果を上げていた。コーラスによって心が引き
裂かれ、またそれによって心が再び一つに纏まる。そんな姿
も見事に描かれていたものだ。
脚本は、2005年『北の零年』などの那須真知子、監督は昨年
6月紹介『大鹿村騒動記』などの阪本順治、撮影は大ベテラ
ンの木村大作が担当。撮影は今年1月と7月に行われ、厳冬
の礼文島の厳しい風景と、夏の礼文島、利尻島の美しい自然
が見事にカメラに収められている。
『合衆国最後の日』“Twilight's Last Gleaming”
1965年『飛べ!フェニックス』や1974年『ロンゲスト・ヤー
ド』など、男性映画の名匠として知られたロバート・アルド
リッチ監督が、1977年に発表したアメリカの危機を描いた作
品。
なお本作は、同年日本公開されているが、その際は125分の
ヨーロッパヴァージョンが上映されたもので、今回はオリジ
ナル146分のヴァージョンでの再公開となる。また今回は、
製作時の合作の相手国であったドイツ(当時は西ドイツ)で
ディジタルリストアされた映像で上映される。
物語は1981年11月のある日、刑務所を脱獄した男たちがソ連
を攻撃するための大陸間弾道弾の発射基地に向かう軍用車両
を強奪。そのまま基地入口に着いた男たちは、セキュリティ
の弱点を突いて基地の占拠に成功する。
さらにミサイル発射の鍵も手に入れた彼らは、ホットライン
でホワイトハウスを呼び出す。そして彼らのリーダーがアメ
リカ大統領に突きつけた要求は…。ヴェトナム戦争に隠され
た巨大な陰謀が暴露される。
オリジナルは公開当時に見たはずだが、正直に言って僕は、
その時には何の話かよく判っていなかったのだと思う。それ
は、当時はまだ政府という存在を信じていた面もあるし、こ
んな隠し事があるなんて思いもよらず、この物語をただの与
太話と考えてしまったのかもしれない。
しかし現状を見ると、どこの国でも政府の嘘など日常茶飯事
だし、このような事が現実に起きている可能性は大いにあり
得るもの。そんな政府のあり方に大きな警鐘を鳴らした予言
的とも言える作品だ。そしてそれがアルドリッチ監督の原題
に込めた真の意味とも言えそうな作品だ。
当時より、現代にこそ意味のある作品のようにも思える。
出演は、バート・ランカスター、チャールズ・ダーニング、
リチャード・ウィドマーク、ポール・ウインフィールド、バ
ート・ヤング、ウィリアム・スミス、リチャード・ジャッケ
ル、ジェラルド・S・オラフリン。
物語は、1990年『ダイ・ハード2』の原作者でもあるウォル
ター・ウェイジャーの原作から、ロナルド・M・コーエン、
エドワード・ヒューブッシュが脚色。音楽をジェリー・ゴー
ルドスミスが担当している。
なお、映画の中では陰謀の首謀者は前の大統領とされている
ものだが、大統領執務室にはロッキングチェアがあったよう
だ。
『僕の中のオトコの娘』
21世紀特有の文化?を描いた青春映画。
物語のテーマは女装。従来のオカマとは違う21世紀特有の現
象と言われる嗜好を巡って、落ちこぼれで引き篭りのニート
だった若者が、新たな自分の生きる道を模索して行く。
主人公は、母親を亡くして、姉と父親と共に郊外の住宅地に
暮らす若者。大卒で一度は就職したものの会社に馴染めず、
退職して2階の自室に引き篭りになっている。
そんな若者が、ふと姉の衣類を手にしたことから、ある心の
動きを感じてしまう。そしてウェブでその類のサイトを訪れ
た若者は女装者と知り合いになり、その誘いで女装バーにも
出入りするようになる。
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10月14日(日)
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