ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460048hit]
■シルク・ドゥ・ソレイユ、ボディ・ハント、カミハテ、宇宙人王さんとの遭遇、駆ける少年、ミロクローゼ、横道世之介、ダーケストアワー
ット、2004年8月紹介『ブラインド・ホライズン』などのギ
ル・ベローズ。
映画のストーリーは、2009年11月紹介『サロゲート』などの
監督ジョナサン・モストウの原案に基づくものだそうで、そ
の原案から先月紹介『ドリームハウス』などのデヴィッド・
ルーカが脚本を手掛けている。
そしてその脚本から、2008年にモストウ監督の『ブレーキ・
ダウン』に影響を受けた『監獄ハイウェイ』という作品で、
イギリスで高い評価を得たマーク・トンデライが監督。本作
は監督のハリウッドデビューとなるものだ。
因に本作は、アメリカでも『ハンガー・ゲーム』の後に公開
されたが、エンディングロールのコピーライトには、2011年
と記載されていた。つまり映画は先に完成されていたが、大
作の評判を狙って公開時期が調整されたもので、アメリカで
のヒットはその作戦が功を奏したようだ。
それにしても、ローレンスが演じる少女の芯の強さは素晴ら
しいもので、これなら『ハンガー・ゲーム』も立派に勝ち抜
くだろうと思わせる。公開が順通りならそういう感想も書き
たくなる作品だった。
『カミハテ商店』
2011年8月に『MADE IN JAPAN−こらッ!−』と2009年9月
には『黄金花』を紹介している京都造形芸術大学映画学科を
母体とする「北白川派」による製作作品の第3弾。因に本作
のクレジットでは「株式会社北白川派」となっており、会社
組織になったようだ。
「上終」と書いて「かみはて」と読ませる。そこは島根県の
離島の寂れた漁村。水揚げの時は多少の人も集まるが、普段
は人影もない。そんな村に向かう路線バスの終点の停留所の
近くに1軒の雑貨屋がある。
その店を守る初老の女性は幼くして父親を亡くし、今は母親
も他界したが、母親から伝わるコッペパンを10個焼いて、毎
朝届く2本の牛乳と共に店に並べる。しかし彼女には、もう
1つ母親から引き継いだ大切な仕事があった。
そんな女性の姿が、牛乳配達や町の職員、旅人らとの交流の
中で描かれる。
出演は、映画の主演は23年ぶりという高橋惠子。共演者には
寺島進、あがた森魚、水上竜士、松尾貴史。他は深谷健人、
平岡美保ら造形芸術大学の学生が脇を固めている。
脚本と監督は、2006年のドキュメンタリー映画『ツヒノスミ
カ』でスペインの映画祭にてジャン・ヴィゴ賞を受賞してい
る山本起也。なお本作も、チェコのカルロヴィ・ヴァリ映画
祭でコンペティション部門に招待されたそうだ。
製作は高橋伴明、林海象。撮影は小川真司など、スタッフに
は造形芸術大学の教授たちが揃っている。
実は映画の背景には、本来は僕が好みとしないテーマがある
のだが、それは別として本作には、どこか不思議なムードが
漂い、それが寂れた漁村の風景とマッチして、全体にはかな
りシュールな雰囲気を醸し出していた。
それに映画の重要なシーンになる「カミハテ断崖」は、隠岐
島の知夫村にある「赤壁」という場所で撮影されているが、
血糊のように赤い断崖は、もっと他の映画でも見たくなるよ
うな迫力だった。
なお北白川派では、すでに林海象監督による『弥勒』が永瀬
正敏、井浦新の出演で製作中(来年公開予定)の他、第5弾
には福岡芳穂監督が企画進行中とのことで、今後も1年1作
程度のペースで映画製作が予定されているようだ。
『宇宙人王さんとの遭遇』“L'arrivo di Wang”
2011年、第68回ヴェネツィア国際映画祭でセンセーションを
巻き起こしたというイタリア製SF映画。この映画を巡って
は、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルと、北京
の夕刊紙「法制晩報」が論評でやりあったとのことだ。
物語は、北京語通訳のイタリア人女性が緊急の仕事で呼び出
されるところから始まる。彼女を迎えに来たのはダークスー
ツ姿の男。男は機密と称して現地到着まで目隠しを要求し、
女性は何処とも知れぬ施設に連れ込まれる。
そして暗室の中で男が行う尋問の通訳が始まるが…。その尋
問はとてつもなく厳しいものだった。そして彼女の要求で灯
[5]続きを読む
10月07日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る