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On the Production
by 井口健二
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■莫逆家族、アシュラ、籠釣瓶、恋に至る病、リンカーン/秘密の書、キック・オーバー、デンジャラス・ラン、トータル・リコール+Hobbit
史的な作品に挑んでいるものだ。
声優には野沢雅子、林原めぐみ、玄田哲章、平田広明、水島
裕ら大御所が集い、さらに北大路欣也がキーとなる役柄を演
じている。ただし北大路にはもう少し外連があっても良いよ
うにも感じたが。
なお本作は、アヌシー国際アニメーション映画祭や上海国際
映画祭、ファンタジア映画祭、ニューヨーク・アジア映画祭
などで招待上映されているようだ。
公開は9月29日から。因に本作の鑑賞制限はGの一般向きに
指定されている。
『シネマ歌舞伎・籠釣瓶花街酔醒』
歌舞伎の舞台を映画で上映する「シネマ歌舞伎」の第18弾。
江戸吉原で起きた実際の事件に基づき、1888年に初演された
という三世河竹新七作の歌舞伎の舞台が、中村勘三郎、片岡
仁左衛門、坂東玉三郎の共演で登場する。
序幕は吉原仲之町。田舎から出てきたお大尽がふと入り込ん
だ吉原で、道中をする人気花魁の八ツ橋に遭遇する。そして
八ツ橋に入れあげたお大尽は、八ツ橋の身請けの話までも進
めようとするのだが、八ツ橋には間夫の侍がいた。
序幕の見染めの場では3組の花魁道中が登場し、豪華な衣裳
が競われる。その中でも玉三郎演じる八ツ橋の衣裳は、立体
的な蝶の刺繍などそれは絢爛なものだ。そして仲居などを引
き連れた道中の様も見事な姿になっていた。
そこから始まる廓の話。廓噺は落語ではいくつも聞いている
が、このような豪華な衣裳を見せられると、成程これが江戸
の花街だったのかと、改めて廓の世界を認識させられる思い
がした。
そして舞台は、立ち回りなどの派手な演出は少ないが、特に
第3幕の縁切りの場からは見事な台詞回しの連続で、七五調
の決め台詞が次から次に登場してくる。その心地良さといっ
たら、これは格別なものだった。
それは七五調の台詞回しにはリアルさも何もないものだが、
これこそが日本の芸能文化の原点とも感じさせてくれるもの
で、これは大事に継承していかなければいけないと感じさせ
てくれるものだ。
実は昔に瀬田貞二訳の『指輪物語』が読み難くて辟易してい
たものが、ある日その訳文が七五調であることに気付き、音
読の気持ちで読み返したら実に気持ちよかった。そんな気分
も思い出させてくれた。
共演は中村魁春、中村勘九郎、中村七之助、中村鶴松、市村
家橘、片岡亀蔵、片岡市蔵、坂東彌十郎、片岡秀太郎、片岡
我當。なお撮影は平成22年2月の歌舞伎座で、第十七代中村
勘三郎の二十三回忌追善興行として上演された舞台となって
いる。
お大尽のあばた面の化粧が今の人たちにどれほど通じるのか
など、心配になる部分もあるが、それを言ったら廓の風情も
今には通じないものだろうし、このような作品によって文化
が伝えられて行くことも期待したいものだ。
『恋に至る病』
第21回PFFスカラシップ作品として製作された木村承子脚
本・監督による長編デビュー作。
気弱な生物の教師に焦がれるようになった女子生徒が、多少
ヘンな妄想にとり憑かれ、それを実践してみると…という、
ちょっとファンタスティックなところもある作品。
主人公のツブラはある妄想を持っている。それは大好きなマ
ドカ先生に抱かれて、彼の大事なものを奪ってしまうという
もの。そんな妄想が高じた終業式の日、準備室にいた先生に
襲い掛かると、それは実現してしまう。
こうしてあそこだけ男性になってしまったツブラと、女性に
なってしまった先生は、やむ無く人里離れた廃屋だった先生
の実家に隠れることにする。そこにツブラの親友のエンや、
そのボーイフレンドのマルもやってきて…。
男女が入れ替わってしまうというのは、過去にも名作のある
定番のファンタシーだが、それがアソコだけというのは確か
に新機軸かもしれない。とはいうものの、それを映像で描け
ないのはかなりのハンディキャップだ。
ただし監督は、そんなことは気にしていないのか、いざとな
ってからは台詞も含め具体的なことはほとんど表現しない。
観客が思い付けということだろうが、僕らはいいけど一般向
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08月05日(日)
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