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On the Production
by 井口健二
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■WIN WIN、よだかのほし、演劇1/演劇2、旅の贈りもの2、放課後ミッドナイターズ、東京スカイツリー、ウェイ・バック+特撮博物館
ている。
なお、『AnimusAnima』の紹介文の中の監督のプロフィール
によると、「これまでの女性監督とは違ったニュータイプの
クリエーター」とされていたが、今回の作品はどちらかとい
うとオーソドックスな女性映画で、その点では信頼の置ける
監督のようにも感じられた。

『演劇1』『演劇2』
2007年5月『選挙』、2009年4月『精神』、2011年4月『Pe
ace』を紹介している想田和弘監督による「観察映画」。因
に前作は番外編で、今回の2作品が第3弾、第4弾と称され
ている。
その想田監督が今回「観察」したのは、劇作家平田オリザ。
『演劇1』ではその舞台人としての本質に迫り、『演劇2』
ではその演劇を通じた現代社会との繋がりなどが描かれて行
く。
そして『演劇1』では、「ヤルタ会談」「冒険王」「サンタ
クロース会議」「火宅か修羅か」の練習風景と、その間に各
地で行われるワークショップや実践授業の様子を通じて、平
田の演劇に対する姿勢やその本質が描かれる。
そこにはスタニラフスキー理論を明確に否定する発言や、そ
の平田の演出に対してそれを克明に表現して行く俳優たちの
考え方なども紹介され、なるほどこれが平田演劇なのだと納
得させられる作品になっている。
これに対して『演劇2』では、最初に「冒険王」の舞台面か
ら始まり、続いて民主党若手議員との懇談の様子などが描か
れる。さらに鳥取県での実践授業の様子や、同県で行われる
演劇祭での様子など、社会との関りが描かれる。
その中では、文化庁の助成金を得るためにいろいろな方策を
講じている様子や、劇団経営の厳しさなども語られ、諸外国
の実情に比較した日本の演劇に対する政治の冷たさも指摘さ
れる。
そしてこの『演劇2』では、前記の他に平田作品の「隣にい
ても一人」「働く私」「砂と兵隊」「森の奥」が紹介され、
特に世界初と称されたロボットと俳優共演による「働く私」
ではその製作風景なども紹介されているものだ。
正直に言って僕は演劇はほとんど観たこともないし、平田オ
リザや青年団の名前も映画との関りの中でしか知らないもの
だが、本作ではそんな僕にも平田という人物が良く理解でき
たように感じられた。
なお中では、青年団所属の2011年7月紹介『東京人間喜劇』
の森田晃司監督や、2011年12月紹介『きつつきと雨』などの
俳優古舘寛治らも登場しており、僕にはその辺でも興味を引
かれた。

『旅の贈りもの、明日へ』
2006年8月紹介『旅の贈りもの−0:00発』に続く列車旅行を
テーマにした作品の第2弾。と言っても物語に繋がりはなく
独立した作品だ。
本作の主人公は建設会社を定年退職した男性。25年前に離婚
した彼には家族もなく、家にいても何もすることもない。そ
んな彼が始めた身辺整理の中で1枚の焼け焦げた葉書が見つ
かる。それは彼に42年前の初恋の思い出を呼び起こす。
こうしてその思い出を頼りに福井へと旅立った主人公に、あ
る出会いがもたらされる。この主人公に、結婚式を控えて最
後の1人旅で福井に来た女性と、スランプに陥ったヴァイオ
リニストの男性が絡んで、新たな未来に向かう人たちを暖か
く包む物語が展開される。
出演は、前川清、山田優、酒井和歌子、ヴァイオリニストの
須磨和声。他に、徳井優、きたろう、二木てるみらが脇を固
めている。前作も歌手の徳永英明が主演だったが、歌手を主
演に据えるのがコンセプトなのかな。
また、須磨には元「ニューハード」の黄金期のメンバーで、
現在は福井中心に活動する日本有数のアルトサックス奏者・
白井淳夫との競演シーンも用意されており、それはサウンド
トラックが欲しくなるくらいのものだ。
さらに今年2月紹介『トテチータ・チキチータ』に出演の葉
山奨之と、今夏公開『桐島、部活やめるってよ』などの清水
くるみが主人公らの42年前を演じる。因に清水は、顔は女優
の若い頃に似ていないが雰囲気を良く似せていた感じだ。
監督は2008年7月紹介『ブタがいた教室』などの前田哲。脚

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07月15日(日)
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