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On the Production
by 井口健二
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■ピラニア2、凍える牙、トガニ、セブン・デイズ・イン・ハバナ、かぞくのくに、DON'T STOP、鍵泥棒メソッド、LIGHT UP NIPPON+Valerian
ただ、最初の人体発火事件とその後の連続咬殺事件が、焼死
体に残された咬み傷だけでは繋がりが弱い気がするが、原作
もその通りなのかな。プロローグで人体発火の衝撃は映画的
には良いが、物語的にはもう少し明確な繋がりが欲しい感じ
はした。
その犬のシーンでは、上にも書いた疾走シーンの美しさや、
その他の名演技もなかなかのものだが、実は出演しているの
は訓練された犬ではないのだそうで、ディジタルで大量に撮
影された素材の中から名シーンを編集するのは大変な作業だ
ったそうだ。
しかし、疾走する犬とバイクと乗用車の映像を巧みに構成し
た一連のシークェンスは、登場人物(犬)の姿を見事に写し
出す名シーンとなっていた。
それにしても、日本でウルフドッグと言われても何か…な感
じだが、韓国が舞台だと納得できるような感じもする。これ
は僕の思い込みかな?
『トガニ 幼き瞳の告発』“도가니”
2005年に韓国の田舎町・霧津で起きた実際の事件に基づく小
説の映画化。
主人公は美術の教師。本来は画家だが、美術学校の恩師の斡
旋で食べるための職として養護学校・慈愛学園に赴任する。
しかしそこで職を得るためには、最初に大金の運営協力費を
要求されたりもする。
その金は母親が自宅を売って工面し、ようやく慈愛学園での
職を得た主人公だったが、彼が最初に目撃したのは、職員室
で殴打される障害者の男子生徒の姿。そしてその男子生徒の
同じく障害者の弟は最近鉄道事故で亡くなったという。
だが、慈愛学園で行われているのはそれだけではなかった。
こうして生徒と共に人権保護団体に援護を求めざるを得なく
なる主人公だったが、さらにそこには苦難の道が待ち構えて
いた。
出演は、ドラマ『コーヒープリンス1号店』や2011年5月紹
介『あなたの初恋探します』などのコン・ユと、2011年10月
紹介『人喰猪、公民館襲撃す!』などのチョン・ユミ。他に
キム・ジヨン、チャン・ガン、キム・ミサン、2008年3月紹
介『光州5・18』などのオム・ヒョソプらが脇を固めてい
る。
また障害児を演じたキム・ヒョンス、チョン・イソン、ペク
・スンファンも、多くの映画やドラマに出演する子役たちの
ようだ。
脚本と監督は、2007年『マイファーザー』という作品が高評
価を受けているファン・ドンヒョク。なお脚本は、韓国小説
文学賞などの受賞作家コン・ジヨンが2009年に発表した小説
に基づいている。
プレス資料には、日本でも約6日に1人の子供が虐待によっ
て殺されているという記事が寄せられていたが、主に家庭内
の事件である日本とは条件が違う話だ。ただ日々伝えられる
教職員による盗撮の報道などを見ると、日本人の品性も変わ
るものではない。
ただ映画の中で、示談で罪を逃れたり、執行猶予付きの「有
罪」判決で大喜びする被告たちの姿は良く判らなかったとこ
ろで、これはどちらも自らの罪の存在は認めているのだし、
そんな連中が復職しているという最後の字幕には唖然とさせ
られた。
日本もそうなのだろうか。
『セブン・デイズ・イン・ハバナ』“7 días en La Habana”
キューバのハバナを舞台にした月曜日から日曜日までの7日
間の物語を、それぞれ俳優のベネチオ・デル=トロや2010年
3月紹介『エンター・ザ・ボイド』のギャスパー・ノエら、
7人の監督によって描いたオムニバス作品。
「ユマ」と題した月曜日はアメリカ人観光客の若者、「ジャ
ム・セッション」の火曜日は映画祭に招かれた東欧の監督、
「セシリアの誘惑」の水曜日は地元歌手、「初心者の日記」
の木曜日はパレスチナ人のジャーナリスト。
さらに「儀式」と題された金曜日は地元の少女、「甘くて苦
い」の土曜日はテレビ出演もする精神科医、「泉」の日曜日
は朝早くから祭壇を作る女性。これらの主人公たちの行動な
どを通してハバナの人々が営む生活や伝統が描かれる。
監督は、月曜日がデル=トロ、火曜日はアルゼンチンのパブ
ロ・トラペロ、水曜日はスペインのフリオ・メデム、木曜日
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07月01日(日)
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